EU主要生産国の豚生産費・繁殖成績を公表
英国農業園芸開発公社(AHDB)は1月11日、2014年の主要豚肉生産国の肥育豚生産費と繁殖成績を公表した。これは、豚肉生産国15カ国(うちEU12カ国)の生産者団体などを会員とする国際組織インターピッグが、各国の生産費や繁殖成績を比較するために実施した調査に基づくものである。
これによると、2014年のEU平均の肥育豚生産費は、前年比13.0%減の生体100キログラム当たり134ポンド(2万2512円:1ポンド=168円)となった(図)。この要因として、豊作により穀物価格が下落したことで、飼料費が同17.0%減となったことが挙げられる。最も飼料費の減少幅が大きかったのはスウェーデンの21.3%減で、逆に最も小さかったのはイタリアの8.5%減であった。
一方、EU各国の肥育豚生産費を見ると、最も高かったのは、イタリアの同157ポンド(2万6376円)であり、最も低かったのは、スペインの同119ポンド(1万9992円)であった。ただし、いずれもブラジル、カナダ、米国の同生産費を大幅に上回っている。
2014年のEU平均の豚価格は、ロシアによる禁輸措置の影響などから年後半から大きく下落しており、年平均では同126ポンド(2万1168円)と生産費を下回っている。なお、豚価格が生産費を上回ったのは、調査対象となったEU12カ国のうち英国とスペインの2カ国のみであった。
繁殖成績については、デンマークが2年連続で1腹当たりの年間産子頭数が30頭を超え、オランダとともに、その他の国を引き離している(表)。なお、EU諸国は、繁殖成績ではブラジル、カナダ、米国よりも比較的優位にある。
【中野 貴史 平成28年1月19日発】
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