アルゼンチン政府は1月25日、同国北部で昨年より大量発生し続けているイナゴの被害に対して、早急に効果的な緊急対策を拡大する必要性があると発表した。
今回の大量発生は、過去60年で最悪の規模にまで拡大しており、国家動植物衛生機構(SENASA)と北部諸州は、連日イナゴの駆除対策に対応を追われている。現状では、ヒマワリや綿花生産に影響を及ぼす可能性が高くなっており、駆除対策が功を奏さずに被害が拡大した場合、他作物に対しても何らかの影響を及ぼす可能性が出てきている。
現地報道によると、今回の大量発生は、複合的な要因が考えられている。一つ目は、天候である。今回の騒動の発端となった小規模なイナゴの群れは南半球の冬に当たる2015年6月に初めて確認されたが、冬の寒さが厳しいものではなく雨が多かったことで、イナゴの繁殖に最適な状況となり、発生数が政府の防除能力を上回って急激に増加することとなった。
二つ目は、行政の対応である。多くの農家は、フェルナンデス前政権が昨年の警告を真剣に受け止めず対策を打たなかったことが、現在の大発生につながっているとの批判をしており、中央政府と州政府の初動対応のまずさを指摘する声もあがっている。
SENASAは、北部諸州のイナゴ幼虫群に対して薬剤を散布して消毒作業を強化しているが、人が立ち入れない潅木地帯もあるという。また、成虫への薬剤空中散布の効果も限定的であることから、目撃情報の通報用ホットラインを設置するなどして監視体制を強化し、人体への健康被害を生じさせない方法によるイナゴ対策を早急に講じたいとしている。
写真 大量発生しているイナゴ(SENASAより引用)