現地報道によると、1月19日、ニュージーランド(NZ)第2位の乳業メーカーであるオープン・カントリー・デーリー社は、2015/16年度(6月〜翌5月)の生産者乳価の支払見込みについて、これまでの見通しから0.3NZドル(23円:1NZドル=78円)引き下げ、乳固形分1キログラム当たり4.00〜4.30NZドル(312円〜335円)とすると発表した。
今回の引き下げについて同社は、国際的に乳製品需要が弱まっている中、生乳生産量については、NZは減産が見込まれる一方で、欧州各国や米国など、NZ以外の主要な乳製品輸出地域は増産傾向で推移しており、国際的には乳製品は供給過剰となり、国際価格の低迷が今後も続くと見込まれることを理由に挙げている。
そのため、生産者乳価については、今後も4ドル台前半の水準を継続する可能性が高く、生産者にとっては引き続き苦しいシーズンになるだろうとしている。
また、1月26日、NZの主要酪農協系乳業メーカーの一つであるウェストランド社も、2015/16年度の生産者乳価の支払見込みについて、これまでの同4.90〜5.30NZドル(382円〜413円)とした見通しを15%以上引き下げ、同4.15〜4.45NZドル(324円〜347円)とすると発表した。
これについて同社は、NZの主要な乳製品輸出先である中国の景気悪化に加え、生産量が増加傾向で推移していた欧州各国産の乳製品が、ロシアの禁輸政策の影響で国際市場に大量に出回ったことで、乳製品の国際的な需給バランスが崩れたことを理由に挙げており、生産者乳価は、2016年末までこの水準が今後も続く可能性が高いとしている。
その一方で、今後の展望については、中国の消費者の高品質な外国産乳製品に対する需要は依然として高く、また、イランに対する経済制裁の解除により、同国向けバター輸出が再開される見通しであることを挙げ、明るい材料もあるとしている。