NZフォンテラ社、生産者乳価引き下げを発表
ニュージーランド(NZ)最大手の酪農協系乳業メーカーであるフォンテラ社は 1月28日、2015/16年度(6月〜翌5月)の生産者乳価の支払見込みを、乳固形分1キログラム当たり4.60NZドル(359円、1NZドル=78円)から同4.15NZドル(324円)に引き下げると発表した(図1)。NZの他の乳業メーカーでは、既にオープン・カントリー・デイリー社とウェストランド社の2社が生産者乳価の引き下げを発表しており、これらに続いての引き下げとなる。
この結果、フォンテラ社が最終的に生産者に支払う乳固形分1キログラム当たりの金額は、1株当たり0.45〜0.55NZドル(35〜43円、2015年12月以降据え置き)の配当金(注)と合わせて、4.60〜4.70NZドル(359〜367円)程度と推測される。
注:通常、フォンテラ社へ生乳を出荷する生産者は、生乳出荷実績に応じてフォンテラ社の株式を取得する(乳固形分1キログラムに対して1株)。このため、最終的に生産者に支払われる金額は、生産者乳価と配当金を合わせた金額となる。
今回の生産者乳価の引き下げについて同社は、以下のような国際的な乳製品需給情勢が背景にあるとしている。
供給側では、NZでの減産が見込まれる一方で、EU各国や米国など、NZ以外の主要な乳製品輸出国の生乳生産量が軒並み増加傾向で推移しており、これが乳製品の国際的な供給過剰をもたらしている。
一方、需要側では、中国の乳製品需要の回復の遅れや、ロシアの禁輸政策の継続に加え、原油価格の低下による産油国の乳製品購買力の低下などにより、乳製品需要が国際的に減少している。
国際的な乳製品需給のだぶつきは、グローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)における1トン当たり平均価格にも表れている。2015/16年度の価格推移を見ると、NZの主要輸出品目である全粉乳は、最高値を記録した2015年10月と比較して、3カ月で約24%も下落しており、脱脂粉乳についても同19%安と大幅に下落している(図2)。
同社は、現在の生産者乳価は、生産者にとって、明らかに経営が持続不可能となる低水準なものであるが、2016年後半には、乳製品国際価格は回復するとの見通しを示している。ただし、その見通しの実現については、EU各国の生乳生産が鈍化するかどうかによるところが大きいとしている。
【竹谷 亮佑 平成28年2月1日発】
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