飼料用トウモロコシの国内需給が逼迫(ブラジル)
ブラジル国内では、飼料用トウモロコシの需給が逼迫傾向にあり、トウモロコシ相場が高値で推移している(図1)。1月29日のサンパウロ市場のトウモロコシ価格を見ると、60キログラム当たり42.27レアル(1196円、10.5米ドル)となり、月初から13.3%上昇した。
現地報道によると、こうした状況を受け同国の飼料メーカー各社は、近隣のアルゼンチンやパラグアイからトウモロコシを輸入する事態も発生しており、特に養豚・養鶏業界では生産コストの上昇が深刻化している。ブラジル動物性タンパク質協会(ABPA)によると、早速、豚肉や鶏肉の価格も上昇しており、今後、食肉輸出価格も上昇となる可能性が高まっている。
こうした背景には、最近の好調なトウモロコシ輸出が大きく影響している。ここ数年、トウモロコシ生産量は大きな変動が見られないものの、2015年の輸出量は米ドルに対してレアル安で推移する為替相場から輸出競争力が大幅に増して、好調に推移した(図2、3)。この結果、従来の国内と輸出の仕向け構図が崩れ、国内需給の逼迫を招いたとみられる。
こうした中、政府は1月25日、政府備蓄のトウモロコシ合計50万トンを競売にかけて放出すると発表し、2月1日に国家食糧供給公社(CONAB)を通じて電子入札が実施される。養豚・養鶏業界は、2014〜2015年の過去2年間の安価な飼料価格の下で成長を続けてきたが、最近の相場高が各社の経営を圧迫していることから、今回の競売に期待するところが大きい。
【米元 健太 平成28年2月1日発】
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