欧州委員会は1月29日、脱脂粉乳とバターの民間在庫補助(PSA)の申請期限を、2016年2月29日から同年9月30日まで再度延長すると発表した。PSA申請期限の延長は、今回で4度目となる。
PSAは、2014年8月のロシアによるEU産農畜産物の禁輸措置の影響を最小限に食い止めるため、緊急措置として同年9月から実施されているもので、民間部門が保管するバターと脱脂粉乳の保管費用を補助し、これらを市場から隔離するものである。
しかし、PSAの実施以降もEUの乳製品価格は低迷を続けており、欧州委員会は、PSAだけでなく公的買入の実施を2016年2月29日まで延長している。公的買入は、EU規則に定められた制度であり、毎年3月1日から9月30日の間に基準価格を下回った場合、固定価格で脱脂粉乳10.9万トン、バター5万トンを上限に買入れて市場から隔離する措置となっているが、現在は通年で実施されている。
欧州委員会のホーガン農業・農村開発担当委員は「酪農経営の維持のため、市場を安定させるあらゆる措置を講じていきたい」との声明を発表しており、欧州委員会は、継続する乳製品価格の低迷に対応し、市場の安定を図るため、PSAと公的買入を継続して実施していくこととなる。