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NZの畜産経営者の意向調査、厳しい生産環境を反映

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 ニュージーランド(NZ)の生産者団体である、NZ農業者連盟は1月、農業経営者の向こう6カ月程度の経営見通しについての意向調査結果を発表した。同調査は、年2回、NZの会計年度(7月〜翌6月)の始期となる7月および年度中期の1月に実施されているものであり、収益性見通し、生産見通しなどについて、以下、「酪農」および「食肉・羊毛」別に概要を紹介する。

収益性見通し:酪農は「悪化」が減少、食肉・羊毛は「悪化」が増加

 まず、今後の収益性見通しについては、酪農は、「悪化」の割合が減少し、「変化なし」が増加している(図1)。しかしながら、この動きは、すでに1年前から悪化状態が継続しているため、さらなる「悪化」見通しが少ないためとみられており、低乳価による厳しい影響が表れている。
 一方、食肉・羊毛は、「悪化」が増加している(図2)。これは、夏季の乾燥気候の継続により、生産者は牛肉・羊肉を早期にと畜せざるを得ず、また、そのためと畜頭数が増加し、牛肉・羊肉の価格が下落する見通しであることが影響している。
図1
図2

生産見通し:「減少」が増加

 次に、生産見通しについては、酪農、食肉・羊毛ともに「減少」が増加している(図3、4)。酪農は、低い乳価に伴う経産牛の淘汰や補助飼料利用の節減による影響とみられ、食肉・羊毛は、長期的な肉用牛・羊の飼養頭数の減少傾向の影響とみられている。
図3
図4

最大の懸念事項:約半数は商品価格の推移

 さらに、農業経営に係る懸念事項についても調査が行われている。酪農、食肉・羊毛ともに、商品価格が最大の懸念事項とされており、特に酪農では、低い乳価を反映して、回答の過半を占めている(図5、6)。
 また、酪農では、「諸規則・法令対応」が第2の懸念事項となっており、農業現場での労働安全の確保や、一部の酪農家の乳用雄子牛の不適切な取り扱いが社会問題になっていることが背景にある。一方、食肉・羊毛では、「気象条件」が第2の懸念事項となっており、乾燥気候に伴う肉用牛、羊の早期と畜が進む状況を反映している。その他、乾燥気候や、低乳価・早期と畜に伴う財務上の問題などが上位を占めている。
図5
図6

政府への主な要望:諸規則に続き、貿易政策が増加

 最後に、政府への主な要望事項についても調査が行われている。酪農、食肉・羊毛ともに「諸規則・法令関係」が最大の要望事項となっている(図7、8)。これは、特定の事項というよりも全般的な要望という性格が強いが、農業現場での労働安全の確保が社会問題となっていることも影響している。次いで、酪農、食肉・羊毛ともに、「貿易政策」となっており、ともに前回から上昇している。これは、さらなる自由貿易交渉への要望に加え、NZでは、EUの民間在庫補助など酪農関連の補助金について、市場歪曲的であるという見方が強いことや、中国市場への依存を低減させる必要があるという認識が影響している。
 その他の要望では、特定事項よりも、広く一般的な要望に近いものが多いが、財政政策では財政収支の維持改善、金融政策では、NZドル安の為替相場および政策金利の引き下げとその維持が主な要望事項となっている。
図7
図8
【根本 悠 平成28年3月3日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9806