ニュージーランド(NZ)の商業委員会(Commerce Commission、以下「CC」という。)は3月1日、酪農産業再編法(Dairy Industry Restructuring Act、以下「DIRA」という。)の競争促進条項見直しについて、最終報告書を公表した。
(DIRAの見直しについては既報【
NZ商業委員会、酪農産業の競合度合いはいまだ不十分と発表】参照)。
同報告書は、2015年11月に公表された草案をおおむね踏襲する内容となっている。これによると、酪農部門については、フォンテラは市場支配力を有するものの、競合状態の一定の進展を認めている。一方、乳業部門については、競合状態はほとんど進展していないとしており、両部門に係る総合的な判断の結果、DIRAの競争促進条項は維持するべきとしている。
また、CCは、将来的な規制緩和の方向性について、競争促進条項見直しの時期については、2021/22年度またはフォンテラの集乳量比率が、北島・南島のいずれかにおいて70%まで下がったときとすべきとしている。さらに、規制緩和の内容については、現在、フォンテラに対し他の乳業メーカーに、一定量の生乳販売を義務付けている規則は、乳業メーカー間の競合状態を勘案しつつ、段階的に緩和するべきとしている。一方、現在、フォンテラは、酪農家との生乳供給契約の開始や終了について、原則的に制限を設けないこととなっているが、このことが、フォンテラによる酪農家の囲い込みを防ぎ、他の乳業メーカーへの生乳供給を促すことにつながっているため、この規則は、今後も維持するべきとしている。
NZ一次産業相は、本最終報告書を受けてから90日以内に、DIRAの今後の取扱いを決定することとなっており、6月初めには、その結果が明らかになる見込みである。