欧州委員会は3月3日、2015年12月時点の牛飼養頭数(EU28カ国)を公表した。EU28カ国の総飼養頭数は、前年から0.8%増加し、8911万頭となった。増加要因として、2015年は、3月末に生乳クオータ制度(生産調整)が廃止されたことや、1年を通じて牛枝肉卸売価格が堅調に推移しことが挙げられる。
国別に見ると、EU最大の牛肉生産国であり、また、第2位の生乳生産国であるフランスは、前年比0.6%増の1939万頭となり、EU全体に占めるシェアは前年並みの21.8%を維持した。次いで、第2位の牛肉生産国であり、最大の生乳生産国であるドイツは、同0.8%減の1264万頭となり、シェアは14.2%と前年から0.2ポイント低下した。第3位は、牛肉生産、生乳生産ともに第3位となる英国で、同1.0%増の979万頭、シェアは前年並みの11.0%を占めた。この3カ国でEUの牛飼養頭数のほぼ半数(47.0%)を占めている。
牛飼養頭数のうち搾乳牛頭数を見ると、オランダが前年比6.6%増、アイルランドが9.9%増となった。両国は、生乳クオータ制度が廃止された2015年4月以降、生乳生産量を大きく増やしている国である。2015年のEU全体の生乳生産量が前年比1.6%増となる中、オランダの生乳生産量は同6.8%増、アイルランドは同13.3%増となった。牛飼養頭数は、2012年以降、EU全体では緩やかな増加傾向で推移しているが、両国のように生乳クオータ制度の廃止をきっかけに酪農基盤の拡大などにより大きく増頭する国もある一方、ポーランドなど低迷する乳価により搾乳牛頭数を減らす国もあり、加盟国間で差が開いている。