米国エネルギー省情報局(EIA)は3月10日、2015年の米国の燃料用エタノール輸出量について、前年並みの320万キロリットルになったことを明らかにした。2013年と比較してドル高傾向で推移しているにもかかわらず、2年連続で300万キロリットルを超える水準となった。主要輸出先国は、カナダ、ブラジル、フィリピン、中国などである。
2015年は、特に中国への輸出量が増加したが、これは同国で穀物からのエタノール生産に対する支援策が終了したことで、オクタン価向上のための添加剤として米国産エタノールの価格競争力が出たためとみられる。
そのほかの国としては、カナダやフィリピンでは、両国内でのエタノール生産が、ガソリンへの義務的な混合率(カナダは原則5%、フィリピンは10%)を満たさないことから、継続的な輸出が行われている。ブラジルについては、エタノールの原料作物であるサトウキビの端境期を中心に輸出が行われている。オランダや英国などのEU諸国に対しては、2013年に導入された米国産エタノールに対するダンピング課税の影響により同年以降、輸出量が減少している。
EIAは、2016年も米国は主要エタノール輸出国の地位を維持すると予測している。
一方、輸入量については、33万キロリットルと前年の1.6倍となった。主要輸入先国はブラジルであり、カリフォルニア州が設定した低炭素燃料基準(LCFS)により、同州で二酸化炭素排出削減効果の大きい再生可能燃料の使用が要求されていることが原因とみられている。