牛肉および豚肉生産量は、ともに前年を上回って推移(メキシコ)
牛肉生産量は生体重増加が下支え
メキシコ連邦政府農牧農村開発漁業食糧省(SAGARPA)によると、2016年2月の牛肉生産量は、前年同月比0.2%増の14万8000トンとなった(表1)。米国農務省のグローバル農業情報ネットワークレポート(GAIN Report)では、増加要因として、飼料穀物価格安と堅調な肥育牛価格により、肥育の長期化が肥育農家の収益性向上に寄与することで、1頭当たり生体重が増加していることを挙げている。国家情報市場統合システム(SNIIM)が実施しているサンプリング調査によると、同月の平均生体重は同1.6%増の468キログラムとなった。一方、と畜頭数は、2012年に発生した干ばつにより減少した牛群の再構築中であることに加え、2015年の米国の生体牛相場が高値で推移し同国向け生体牛輸出が増加したことなどを要因として減少している。
州別に見ると、最大の牛肉生産州であるベラクルス州が同2.1%増の2万トン、次いでハリスコ州が同2.6%増の1万7000トンとなった一方、チアパス州やシナロア州などで減少となった。
また、同月の牛肉輸出量は、同13.7%増の1万5000トンとなった(表2)。GAIN Reportによると、2016年の牛肉輸出は、引き続き米国や日本、香港が主要相手国となるとしている。特に米国については、米国内での高水準の牛肉在庫により需要が減退するものの、オセアニアからの輸出減が、メキシコの輸出を後押しするとみている。
一方、同月の輸入量は、主な輸入先である米国で牛肉価格が上昇し、為替も米ドル高になっていることにより、同16.9%減の8000トンとなった。
農牧大臣とハリスコ州知事は2016年3月、ハリスコ州におけるブルセラ病と結核病の管理計画に署名した。同計画では、州内の全畜産農家に対する行動計画を策定し、2〜3年以内にこれらの疾病を撲滅するとしており、最終的には同州からの米国向け輸出の解禁が狙いとみられている。
豚肉生産は好調を維持
SAGARPAによると、2016年2月の豚肉生産量は、前年同月比2.5%増の10万8000トンとなった(表3)。SNIIMのサンプリング調査では、平均生体重は同3.8%増の109キログラムとなり、飼料穀物価格安に加え、遺伝的改良の進展により増加傾向で推移している。GAIN Reportによると、メキシコでは、豚肉は牛肉に比べ安値であることから、豚肉消費量は増加傾向で推移しており、豚肉生産意欲を刺激しているとされている。
また、同月の豚肉輸入量は、前年同月比1.5%増の5万6000トンとなった(注)。米国産の加工向け低級部位が大半を占めているが、米国産豚肉の価格下落や国内需要の高まりなどにより、今後も輸入量は堅調に推移するとみられている。一方、輸出量は、米国向けが増加したことから、同9.9%増の8000トンとなった(注)。2015年12月、日本がメキシコをアフリカ豚コレラの清浄国と認めたことにより、全土からの輸出が可能となった日本向けを中心に、2016年の豚肉輸出量は増加が期待されている。
(注)メキシコ税関管理局、HSコード0203。
【渡邊 陽介 平成28年4月15日発】
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