トウモロコシの輸入関税を一時的に免除(ブラジル)
ブラジル貿易審議会(CAMEX(注1))の執行委員会(GECEX(注2))は4月19日、南米南部共同市場(MERCOSUR)の加盟国以外からトウモロコシを輸入する際に適用している関税(対外共通関税率=TEC(注3)、税率10%)を5〜10月までの6カ月間、上限100万トンまで免除することを発表した。ブラジルでは、トウモロコシ生産が停滞する中、レアル安を受け、2015年10月以降、トウモロコシ輸出量が前年同月を大幅に上回る水準で推移した結果、主に南部でトウモロコシ不足が深刻化している。
カチア・アヴレウ農牧食料供給大臣は3月末、飼料コスト高対策として、飼料用トウモロコシの輸入にかかる一部税金(社会統合基金(PIS)および社会保険融資負担金(COFINS))の免除を提案したものの、同国歳入庁の反対により実現しなかったため、TECの課税を一時的に免除する代替案をCAMEXに提示していた。同大臣は12日、鶏肉や豚肉をはじめたとした食料品価格の高騰が懸念されると歳入庁のホルヘ・ラシッド長官に伝えたことを明らかにし、TECの免除が認められれば、その適用期間は少なくとも6カ月間に及ぶとの見方を示していた。
農務省の高官は、TECの一時免除で飼料コストの低減が期待されるとして、養鶏、養豚および酪農の生産者の要望に応えることができたとしている。
なお、メルコスール加盟国からのトウモロコシ輸入は非課税であることから、TECの課税停止を受け、メルコスール加盟国以外、とりわけ米国からのトウモロコシ輸入が一時的に増加すると見込まれる。 ブラジルは2015年に米国産トウモロコシを272.8トン輸入したにすぎなかった(表1)。
(注1) CAMEX…関税率の決定・変更などを行う機関。2007年に小麦が不足し価格が上昇した際も、国内状況を鑑み、小麦の輸入関税を一時的に撤廃した。
(注2) GECEX…関係省庁(農業省、金融庁など)のほか、ブラジル銀行や国立社会経済開発銀行(BNDES)などがメンバーとされる。
(注3) T E C…輸入税で、CIF価格が課税対象額となる。
降雨不足による2期作トウモロコシの減産懸念
ブラジルでは、現在乾季に入り、2015/16年度第2期作のトウモロコシが生育段階にあるが、平年よりも降雨不足が深刻化しており、作柄悪化の懸念が強まっている。現在のトウモロコシの逼迫は、2期作トウモロコシの収穫が始まる5月下旬以降は徐々に解消される見方が強いが、第2期作の生育次第ではその後も輸入量が現在の予想より増加する可能性がある。
【米元 健太 平成28年4月20日発】
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