EUでは、2016年1月4日から1月20日まで実施した民間在庫補助(PSA)により、ドイツ、デンマーク、スペイン、オランダといった豚肉生産主要国の豚肉9万25トンを市場隔離しているが、保管期間が終了次第、随時、市場に放出されることとなっている。4月18日の週には、その約3分の1の3万トンが、来週4月25日の週には、さらに約3万トンの保管期間が終了する予定である。
PSAは、生産量増加やロシアの禁輸措置などにより需給が緩和し価格が低迷しているEU豚肉産業の救済策として、民間事業者の豚肉保管費用を補助することにより、豚肉在庫を市場から隔離するものとして実施された。
その実施に当たって、民間事業者は、保管期間を申請することになっているが、最も短い90日間のものが今回の放出の対象となる。なお、PSA対象の約9万トンのうち67%の6万トンが保管期間90日間であり、残りは、120日間が8%の7000トン、最長の150日間が25%の2万2000トンとなっている。いずれも、保管期限に達すると、市場に放出されるため、最終的に6月には全てが市場に戻ることとなる。なお、最も長い150日間のものは、主にスペイン、イタリア、ポーランドが保管している。
低迷を続けるEUの豚枝肉卸売価格は、1月のPSA実施前後からほぼ横ばいで推移していたが、直近では前週をわずかに上回る週が続き、上昇の気配もあった。しかし、今週から6月に掛けて行われるPSA豚肉の市場放出は、新たな価格下落を招く要因となるのではないかと、業界は懸念している。
欧州委員会は、3月14日の農業理事会において、特別追加支援措置のひとつとして、PSAの再実施を表明しているが、時期や枠組みなど詳細についてはまだ明らかにされていない。