アルゼンチン政府は3月30日、乳製品の輸出登録制度(ROE BLANCO)の廃止を発表した。ROE BLANCOは、キルチネル政権時代の2007年に導入され、国内の牛乳・乳製品需給の逼迫を招かないよう、乳製品輸出に際して数量、輸出先などの事前登録を義務付けることにより政府が実質的に輸出を管理するものであった。これにより、乳製品の輸出機会が損なわれるなど、同国の酪農・乳業発展の阻害要因とされてきた。
2015年12月10日に誕生したマクリ政権は、事前公約に基づいて、下表の通り変革を進めており、ROE BLANCOの撤廃については時間を要したものの、酪農・乳業関係者との話し合いを重ねて今回の廃止にこぎつけた。今後、乳製品の輸出は、乳製品外国販売宣誓申告制度(DJVEL(注))に移行する。
なお、今回のROE BLANCOの撤廃を受け、前政権による農畜産業の各種輸出規制は、概ね撤廃・改善されたこととなる。
同国の酪農は、長年のインフレにより小規模農家を中心に酪農家戸数が減少しているものの、豊富な飼料穀物生産を背景に、生乳生産増は比較的容易とされている。主要輸出国の中で、生乳生産コストが最も低いとされるアルゼンチンの酪農生産への注目が集まっている。
(注)DJVELは、乳製品の輸出量を統計的に把握するものであり、輸出を制限するものではないため、基本的には自動的に許可されることとなる。