3月末の牛肉・豚肉の在庫量は過去5年平均と同水準に(米国)
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)は4月22日、2016年3月末の畜産物などの在庫量を取りまとめた「Cold Storage」を公表した。
「Cold Storage」は、USDAが毎月公表している統計データであり、牛肉、豚肉、家きん肉、乳製品、果物、野菜、ナッツ類などの前月末の在庫量を取りまとめている。毎月24日ごろに全米約800カ所に所在する冷蔵倉庫(公的/民間に関わらず)の事業者に質問票を送付して回答を得る方法により、在庫量についての情報を収集して取りまとめており、中には品種ごと、部位ごと、地域ごとのデータに細分化されているものもある。
対象となる冷蔵倉庫は、約4度以下で保存している倉庫とし、対象物は、通常30日以上当該倉庫に保管しているものとしており、「30日以上」の条件に当てはまれば、乳製品工場や食肉加工工場にある特殊な倉庫も対象となり得る。 ただし、1カ月間で在庫が完全に入れ替わってしまうような卸売業、仲介業、販売業、チェーンストア、食肉業者の支店などの保管庫は対象としていない。さらに、対象物は、所有者が誰かといった点や輸入品か国産品かということには左右されない。
なお、質問票を送付する約800カ所の冷蔵倉庫のうち、毎月約600カ所から回答があり、これは全体の約75%に相当する。一度も回答が来ない倉庫は対象から除外しているが、諸事情により当該月のみ回答が送られてこなかった事業者の数字については、直近の在庫量や前年同期の増減などを加味して推計値とすることもあり、これらには若干の留意が必要である。
今般公表された同月末のデータのうち、畜産物関連の概況に加え、牛肉および豚肉について、過去の推移とともに以下のとおり整理した。
畜産物全体概況
3月末の牛肉、豚肉、家きん肉を合計した食肉在庫量は約102万トン(前年同月比0.4%減、前月比1.1%減)となった。過去5年間の3月末の在庫量のうち、2014年を除いた4年間は前月比で増加していることから、今回の減少は春先の強い食肉需要を示唆しているとみられる。
畜産物全体の内訳としては、牛肉が約21万2000トン(前年同月比3.0%減)、豚肉が約27万9000トン(同8.7%減)、鶏卵が1万4000トン(同0.7%減)と前年同月の水準を下回ったものの、家きん肉、バター、ナチュラルチーズはいずれも同水準を上回った(表)。
牛肉
3月末時点の牛肉在庫量は21万1821トンとなり、2カ月連続で減少した(図1)。過去5年間の同月平均比では0.5%減とわずかに下回っている。現地関係者によると、この在庫量の減少は、牛肉輸入量が減少した一方、小売ベースでも在庫が一掃された結果であり、今後は5月末の「メモリアルデー」以降のバーベキューシーズンに向けて、牛肉価格が強含みで推移すると見込んでいる。
豚肉
3月末時点の豚肉在庫量は27万8571トンとなり、過去5年間の同月平均比では0.3%減とわずかに下回っている(図2)。2月から3月にかけての減少は、例年見られるものであり、イースター(2016年は3月27日)向けの強いモモ肉需要により生じるといわれている。
一方で、ソーセージ原料などに用いられる端材(Pork trim)の在庫が大きく減少(前年同月比35%減、過去5年平均比23.5%減)している。現地関係者によると、2016年第1四半期の豚と畜頭数は比較的高い水準にあったものの、端材の引き合いは強く、現在の72CL(赤身率72%) pork trimの価格は、前年同期比約2倍の水準で推移している。
【調査情報部 平成28年5月6日発】
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