米国農務省、農畜産物の需給予測を公表(米国)
米国農務省(USDA)は2016年5月10日に公表した「World Agricultural Supply and Demand Estimates Report (WASDE)」で、本年最初となる2016/17穀物年度(9月〜翌8月)の大豆および2017年の畜産物の需給見通しを示した。
大豆:生産量は前年度比3.3%減
2016/17穀物年度の生産量は、作付面積および単収が減少することから、前年度比3.3%減の38億ブッシェル(1億336万トン)と見込まれる。作付面積は、2016年3月31日公表の作付意向調査を受けて、同0.6%減の8220万エーカー(3288万ヘクタール)と見込まれている。
国内消費量は、食肉生産の増加による大豆かす需要の高まりから同1.9%の増加、輸出量は、輸出競合国であるアルゼンチンの輸出減から同8.3%の増加が見込まれる。この結果、総消費量は、同4.7%増の39億2500万ブッシェル(1億676万トン)と見込まれる。
期末在庫量は、生産量の減少や消費量の増加により、同23.8%減の3億500万ブッシェル(830万トン)と大幅な減少が見込まれる。
生産者販売価格は、在庫の取り崩しが進むことから、1ブッシェル当たり8.35〜9.85米ドル(1キログラム当たり34〜40円:1米ドル=111円)と、中間値が前年を上回る見込みである。
畜産物:食肉および生乳生産量はいずれも増加
2017年の牛肉生産量は、前年比3.9%増の1173万トンと見込まれる。この要因としてUSDAは、飼養頭数が増加傾向にあることに加え、枝肉重量が良好な飼養環境と飼料価格安により増加見込みであることを挙げている。
豚肉生産量は、肥育豚頭数および枝肉重量の増加により、同2.6%増の1164万トンと見込まれる。分娩母豚頭数および1腹当たり産子数がいずれも増加しており、肥育豚頭数の増加が見込まれている。
鶏肉生産量は、引き続き拡大傾向にあることから、同2.5%増の1887万トンと見込まれる。
この結果、輸出量は、3畜種とも生産量の増加と適度な価格帯での推移が見込まれることから、前年を上回るとみられている。
生乳生産量は、草地の状態が改善していることや飼料価格安による1頭当たり乳量の増加により、同0.3%増の9634万トンと見込まれる。なお、乳牛の飼養頭数は、2016年並みとなる見込みである。輸出量は、国際的な需給のひっ迫傾向に転じることで輸出機会が高まるとして、同3.9%の増加を見込んでいる。国内外からの需要を受けて、チーズ、脱脂粉乳、ホエイの価格は上昇すると見込んでいる。
【渡邊 陽介 平成28年5月12日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4397