豚肉価格高騰対策として、備蓄冷凍豚肉を順次放出(中国)
備蓄の放出により価格上昇は鈍化
中国で豚肉供給不足から小売価格が高騰する中、中国商務部は関連部局と調整し、中央備蓄冷凍豚肉注1を順次放出しており、昨年12月以降では12.2万トンを放出したとされている。現地報道によると、商務部関係者の観測として、豚肉価格は継続して上昇しているが3月下旬以降上昇幅は縮小しており、備蓄品の市場放出により今後の需給は改善が見込まれるとしている。
北京市は初の備蓄放出
北京、浙江、陝西など、12の省や市が管理する地方備蓄冷凍豚肉も約3万トンが順次放出されている。中でも北京市商務委員会は5月3日に、5月5日より7月4日まで、1992年の制度開始以来、初めて、備蓄冷凍豚肉を市場に放出すると発表した。同市内の大手スーパーマーケット8社注2傘下のチェーン店121店舗を通じ、1日当たり50トンの冷凍豚肉を市場に供給し、累計3050トンを放出する。なお、対象となる豚肉は現地で二号肉と呼ばれる前腿肉(前肢肉)と、四号肉と呼ばれる後腿肉(後肢肉)とされている。
北京市は上記スーパーマーケット各社に対し、1キログラム当たり9元(153円、1元=17円)の補助金を支給することで、低価格での備蓄肉の供給を促すとした。ただし、不正を防止するため、備蓄肉の店頭販売に際しては適正な値下げ価格としている旨を表示する必要があり、市当局は適切に値下げ販売されているかどうかを監査し、不正行為が認められた場合は関係法令の規定に基づき処罰するとしている。
また、同市は市内のと畜企業に対し、豚肉供給を増やすため、1日当たりのと畜頭数を従来よりも20%増加し、2015年と同水準の1.8万頭とするための補助金を支給するとしている。 現地報道によると、中国では通常、生鮮豚肉の消費が主流であることもあり、今回の備蓄冷凍豚肉の市場放出に対する市民の注目度は、比較的低かったとしている。
【木田 秀一郎 平成28年5月13日発】
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