脱脂粉乳の公的買入の限度数量が2倍の21万8000トンに引き上げられて以降も、卸売価格のさらなる下落および脱脂粉乳の増産により、公的買入への申請量は増加している。新たな限度数量の下、3週間で13カ国から計5万1061トンの申請があった。フランスを筆頭に、デンマーク、ベルギー、オランダと続く4カ国で、全体の7割近くを占めている。このペースで申請が継続した場合、7週目(6月第1週)には再び上限に達することになる。脱脂粉乳の生産量は、季節的に2月以降増加し、5月に生産のピークを迎えることから、7週目より早い段階で限度数量に達してしまう可能性は高い。
欧州委員会は、共通農業政策(CAP)の共通市場規則(CMO)に規定される市場不均衡時の特別措置として、生乳減産を目的とした自主的生乳供給計画の策定を可能とするEU規則を策定し、4月12日から6カ月の期間限定で施行されたが、このような状況にあっても増産意欲のある生産者が少なくない中、効果ある減産を実施することは難しく、現時点で、この新たな自主的生乳供給計画に基づく減産が行われているとは考えられていない。
こうした中、生産者などは新たな支援策を欧州委員会に要望している。しかしながら、ホーガン農業・農村開発担当欧州委員は、昨年9月の総額5億ユーロ(625億円)の緊急支援措置のうち、各加盟国に配賦された予算を執行
するよう各加盟国に訴えた。特に、加盟国独自に補助できる生産者1人当たり年間1万5000ユーロ(187万5000円)の予算について、減産に取り組んだ生産者に補助するよう促している。