相次ぐFTAの締結で、輸入農畜産物が急増し、韓国農業の受ける影響はますます増加しており、1995年のガット・ウルグアイラウンド農業合意の開始当時、都市労働者世帯の所得に対して95.7%であった農家の所得は、2014年には60.3%に減少し、農業は厳しさを増している。
また、農業資材価格の上昇、農村労働力不足など、農畜産業を取り巻く環境はますます厳しくなっており、これにより、農畜産業の未来はますます暗くなっている。
このように、WTO交渉やFTA妥結で農畜産物の輸入が拡大し、農畜産業が困難な状況に立たされる中、農家は、高品質の農畜産物の生産など、農畜産業の競争力向上により危機を克服するために多くの努力を行ってきた。
しかし、キム・ヨンラン法と9日に公表された同法施行令(案)は、農畜産業を再び存続の危機に追いやっている。
キム・ヨンラン法の制定により清廉さが向上し、国家競争力を高めることができるという点には共感するが、農家の生産した農畜産物が法の対象品目に含まれる場合、ただでさえ厳しい農家経営はより厳しくなる。
韓国では、主要な農畜産物の40%ほどが祝日期間に集中的に販売され、果実の場合、全体の50%以上、高麗人参は同70%以上、韓牛は98%以上が5万ウォン(5000円:1ウォン=0.1円)以上で販売されていることを勘案すれば、キム・ヨンラン法施行の際、祝日の贈答という公序良俗は、これら農家による農畜産物に代わり安価な輸入農畜産物のギフトセットになるのは明らかである。
事実、2008年の公務員綱領行動基準の改正により、公務員が3万ウォン(3000円)以上の鉢物などの授受を禁止しただけでも、それまで1兆ウォン(1000億円)あった花き農家の売上高が7000億ウォン(700億円)台に減少した。最近の研究結果によると、キム・ヨンラン法の施行により、売上高は、りんご・なしで最大1500億ウォン(150億円)、韓牛で最大4100億ウォン(410億円)減少すると予想されている。
また、国内経済において農業部門の付加価値は27兆ウォン(2兆7000億円)と、国民経済に及ぼす影響が大きいにもかかわらず、キム・ヨンラン法の施行でこの付加価値が減少することは、国民経済にも悪影響を及ぼす。
幸いなことに、4月26日の報道機関の編集局長招待懇談会で、パク・クネ大統領は、困難に直面している農業の内需拡大のためにキム・ヨンラン法の見通しに言及したことで、農家は大きな期待を持った。
しかし、国民権益委員会
(注)によるキム・ヨンラン法施行令(案)は、農家の期待をまったく反映していないものであり、農家の不満は最頂点に達している。
農家・農協は、キム・ヨンラン法の施行により、WTO交渉とFTA締結よりも大きな影響を農家が受けることで、農家の存続と今まで積み重ねてきた農畜産業基盤の崩壊につながるとの大きな懸念を持っている。このため、キム・ヨンラン法の対象金品から農畜産物を除外することを政府と国会に対し、切に要望する。
2016年5月12日
韓国農協中央会
(注)「腐敗防止及び国民権益委員会の設置と運営に関する法律」に基づいて設置された国務総理直属の国家行政機関。