CONABが備蓄トウモロコシのさらなる市場放出を検討(ブラジル)
ブライロ・マッジ農業大臣は、トウモロコシの国内需給逼迫に伴う相場高により養豚や養鶏等の生産コストが増加していることを受け(図1)、国家食糧供給公社(CONAB)が保管するトウモロコシのさらなる市場放出を検討していることを明らかにした。CONABは相場高を受けて年初より既に50万トンのトウモロコシを競売入札によって放出している。
需給逼迫の背景には、レアル安の為替相場によりトウモロコシ輸出が大幅に伸長した一方、天候不順によるトウモロコシ減産懸念が強まっていることがある。養鶏や養豚産業は2016年初から、主要飼料原料であるトウモロコシの値上がりにより生産コストが増加しており(図2)、JBS社やBRF社をはじめとした食肉企業各社では、アルゼンチンやパラグアイなどからトウモロコシを輸入する事態となっている。
現地報道によると、こうした状況を踏まえマッジ大臣は、公的食糧備蓄に関する省庁間評議会(CIEP)に対して、緊急事項としてCONABが保有する備蓄の放出を速やかに承認するよう求めた。CIEPは、政府の関係省庁5省から構成され、CONABが備蓄する農産品の買い入れや放出等に関する決定権を有しているが、多くの関係省庁から構成されるため、結論に時間を要し機動性が問題視されており、マッジ大臣はCIEP自体の廃止を考えていることも示唆した。
2015/16年度(10月〜翌9月)の第2期作トウモロコシ生産は天候不順により下方修正された一方、当初、第2期作の収穫時期になれば落ち着くとみられていた飼料用トウモロコシの逼迫状態は2016/17年度の第1期作の収穫期まで継続するとの見方も出てきている。
なお、2016/17年度の第1期作トウモロコシの作付面積はトウモロコシの収益性が向上していることから、2015/16年度を上回る可能性が強まっている。
【米元 健太 平成28年5月24日発】
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