CPグループ、中国育粉メーカーなどと合弁でロシアに大規模乳製品工場の建設を計画(タイ)
5月20日付けの現地報道によると、タイのチャロン・ポカパン(CP)グループが、ロシアの政府系ファンドであるロシアン・ダイレクト・インベストメント・ファンド(RDIF)、中国の育粉メーカーである旗幟嬰児乳品有限公司と合弁で、ロシア西部のリャザン州に大規模乳製品工場を建設すると報じた。
これによると、3者によるこの乳製品工場への投資総額は10億米ドル(1100億円:1米ドル=110円)で、年間生産量は40万トン規模(製品換算)としている。また、工場建設に併せ、同州内に、広さ4〜6万ヘクタール、飼養規模8万頭の牧場も設置し、原料となる生乳も自社生産で賄うとしている。この乳製品工場が完成・稼働すると、CPグループはダノン(フランス)、ペプシコ(米国)を抑え、ロシア最大の乳業メーカーとなる。
RDIFは、ロシアは世界でも有数の乳製品市場を抱える国であるが、国内の乳業メーカーの生産効率が低く、供給面に不安があったため、今回のCPグループの進出で、ロシア国内への乳製品の供給が安定するとしている。
ロシアは、2014年8月以降、それまで主要輸入先であったEUなどに対し、乳製品をはじめとした食品の輸入を規制しており、自国内の生産力強化が課題となっている。このため、国内メーカーだけでなく、外資系メーカーの生産拠点設置の動きも加速している。
参考)CPグループによるロシアへの畜産物生産拠点進出
CPグループは、タイ国内における鶏肉加工品需要の減少を受け、海外での新たな鶏肉加工品市場を開拓するため、2013年にノルウェー系養豚企業であるロシア・バルティック・ポーク・インベストメントを買収し、ロシア進出を図った。その後、ロシア国内での旺盛な鶏肉需要に対してEUからの禁輸措置の影響で供給量が大幅に減少するとの見通しを受け、2015年7月、オランダの養鶏企業のアグロ・インベスト・ブリンスキーからロシア国内の鶏肉加工事業部門を買収することで合意した。
【伊澤 昌栄 平成28年5月25日発】
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