中国では、輸入食品の安全性を確保するため、2014年5月1日より、特定の食品について、外国企業が海外で生産する食品の輸入を許可制としている。
具体的には、「食品安全法」および「輸出入商品検査法」に基づき、国家質量監督検査検疫総局(AQSIQ)が「国外生産輸入食品の登録管理規程」(質検総局第145号令)を定め、さらに「国外生産輸入食品の企業登録実施目録」の中で、食用の肉類、水産品、乳製品およびツバメの巣については海外からの輸入に際して登録の義務を課している。
乳製品は大きく分けて育児用調製粉乳(育粉)とそれ以外の乳製品に区分されているが、本年5月以降、育粉の輸入認可が相次いで暫定停止処分とされた。制度開始以来、初めて輸入認可が停止されたのは、スイスの有機育粉ブランド泓楽「Holle」がオーストリア工場で生産するAgrana Stärkeの製品で、5月12日に、黒竜江省食薬監局の検査でサカザキ菌注が検出されたことなどを理由としている。なお、この処分により当該育粉の中国への輸入が禁止されたことで、再び輸入資格を回復するためには長い審査過程を経る必要があるとされている。
また、6月1日付でさらにフランス(NUTRIBIO:中国HACCP認可)とドイツ(Töpfer:中国有機製品認証)の育粉の認可が暫定停止処分とされている。認可の暫定停止を受けた対象製品はどれも中国で有機認証を受けたものやHACCP認証を受けたものであり、現地報道によると既に同様の付加価値商品との間でシェアの変化が生じているとされる。
国家承認認可監督管理委員会(CNCA)のホームページ上で公表されている情報によると、6月3日現在、育粉の輸入認可件数は74件、育粉以外の乳製品については2009件となっている。どちらも欧州諸国の認可件数が最大で、育粉で全体の50%、その他の乳製品で61%を占めている。
なお、暫定輸入認可停止対象品目の越境電子商取引や海外からの直接購買は違法ではないものの、販売用に取り寄せることはできないとされている。
注:サカザキ菌(Cronobacter sakazaki):ヒト・動物の腸管内や果実・野菜から検出され、乳児(1歳未満の子ども)の「敗血症」や「壊死性腸炎」、ひどい場合「髄膜炎」の原因となる。