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食品の栄養成分表示に関する規程が約20年ぶりに改定され、砂糖についても新たな表示義務が追加(米国)

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最終更新日:2016年6月9日

 米国食品医薬品局(FDA)は5月20日、同国における包装された食品(米国農務省(USDA)が別途管轄している肉類などは除く)の栄養成分表示に関する改正規程の最終版を公表した。今般の栄養成分表示の改正については、同国が最新の科学的知見に基づいて実施するもので、約20年ぶりの改正となる。

主な改正点(共通)

 FDAは20日に発表した資料の中で、今般の改正のハイライトは次の3点にあると解説している。

(1)ラベルのデザインを刷新
 「サービングサイズ(1回当たり摂取量)」と「サービングサイズ当たりのカロリー」を強調する表示に変更。ビタミンAとビタミンCの表示が任意表示になり、代わりにビタミンDとカリウム(potassium)の表示を義務付け。カルシウムと鉄分の表示は引き続き必須。最下部の注釈における「1日摂取量に対する比率」についての説明をよりわかりやすく変更。

(2)最新の栄養科学に関する情報を反映
 脂肪については、脂肪の種類が重要であることから、総脂肪、飽和脂肪、トランス脂肪の量の表示はこれまで通り必須だが、「脂肪由来カロリー」は除外。最新の科学的知見に基づく、ナトリウム、食物繊維、ビタミンD等の栄養素の1日摂取量を更新。

(3)サービングサイズとパッケージサイズの表示に関する変更
 サービングサイズを国民が実際に食べている食品の量を反映して変更。パッケージサイズが食べる量に影響を与えるので、1〜2食分程度のパッケージについてはそれを1回で全部食べるものとして表示が必要。1回分より多いが1回で食べられる可能性のある量の場合には、「1回当たり」と「1パック当たり」の2つの欄を用意する必要。

主な改正点(砂糖関連)

 砂糖に関連する部分については、これまでも砂糖の量を表示する義務はあったものの、今年1月に発表された新たな「米国人のための食生活指針(2015-2020)」において、「肥満や糖尿病などの生活習慣病にならないために糖類の摂取量を1日の総カロリー量の10%未満に抑えるべき」という、糖類の摂取基準が初めて示されたことを受け、食品そのものに含まれる糖分に加え、加工の過程で添加された砂糖の量についても分かるように、「糖類(added sugars)」(注)の量および「1日摂取量に対する比率」についても表示する義務が生じることになった。
 (注)糖類とは、果物などに自然に存在する糖を除く、砂糖、異性化糖、ぶどう糖、ハチミツなどに含まれる糖と定義されている。
 
160609海外情報図(北米:砂糖)
 なお、今回の新たな表示については、原則として2018年7月26日までに対応する必要があるが、売上金額が年間1000万米ドル(約11億円:1ドル=110円)未満の食品製造企業に対しては、1年間の猶予が与えられる。

 また、米国における砂糖を取り巻く環境の変化としては、今般の連邦政府の規則による食品栄養成分表示の改正のほか、米国内の各地域で、砂糖をめぐるさまざまな議論が生じている。例えば、ペンシルベニア州のフィラデルフィアでは加糖飲料に1オンス当たり3セント(わかりやすく換算すると、100グラム(約100ミリリットル)当たり約11.8円)の「ソーダ税」なる新たな課税を検討しているほか、カリフォルニア州サンフランシスコでは、加糖飲料の広告の一部に健康影響に関する表示を義務付ける規則を本年7月より施行予定といった状況となっている。

 これら砂糖業界にとって厳しい施策に対し、各関連団体は既にさまざまな訴訟を起こしているものの、サンフランシスコの広告の事例では仮差し止めの申請が既に却下されるなど、米国の砂糖業界にとって、砂糖の国内消費の流れを左右するような状況の変化が生じつつあり、同国におけるこれらの議論がどうなるのか、今後の行方が注目される。


【調査情報部 平成28年6月9日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-8609