欧州委員会によると、2016年6月13日の週の豚枝肉卸売価格(EU28カ国)は、前週から1.5%上昇し、100キログラム当たり150.75ユーロ(1万8090円:1ユーロ=120円)となった(図1)。同価格が150ユーロ台まで戻したのは、2014年9月22日の週以来となる。
同価格は、同年2月29日の週には同124.50ユーロ(1万4940円)まで落ち込んでいた。しかし、豚肉の生産量が2016年に入り前年並みで推移する中、アジア向けを中心に輸出量が増加したことで、価格が押し上げられたとみられる。
2016年4月の豚肉輸出量(EU28カ国)を見ると、前年同月比85.6%増の23万トンと大幅に増加した(図2)。輸出量は、スペインおよびドイツを中心に、11カ月連続で前年同月を上回って推移している。
輸出先別に見ると、最大の輸出先である中国向けが同3倍増の11万トンとなり、中国国内の豚肉供給不足により大幅に増えている。次いで、第2位の日本向けが同28.5%増、第3位の韓国が同20.2%増となっている。上位3カ国のほかにも香港、フィリピンおよびベトナム向けがいずれも同2倍増となるなど、アジア市場が豚肉輸出量の増加をけん引している。
なお、欧州委員会は2016年6月20日に2016年4月のEU農畜産物の貿易黒字が前年同月比50.1%増の15億ユーロ(1800億円)となったと公表したが、増加の主な要因として、豚肉輸出量の増加を挙げている。