高騰する国内砂糖価格(ブラジル)
最終更新日:2016年6月28日
ブラジルのサンパウロ大学農学部応用経済研究所(CEPEA)によると、サンパウロ州の砂糖価格が過去最高の水準にまで高騰している(図)。
CEPEAは2003年5月20日以降、国内の市場データの収集および公表を行っているが、2016年6月27日の取引では、砂糖50キログラム当たり87.29レアル(2619円(2016年6月27日付けTTS:1レアル=30円))に達しており、1年前と比べて8割以上上昇している。
この背景には、収穫期の多雨によるサトウキビの圧搾遅延や、パラナ州など一部生産州での最近の降霜によるサトウキビの生育への影響に対する懸念といった同国内の事情に加え、エルニーニョ現象によるインドなど主要国の減産で国際砂糖需給のひっ迫が見込まれることなどにより、国際価格(ニューヨーク粗糖相場)が1ポンド当たり19セント台まで上昇していることがあるとみられる。
しかし、この急激な価格上昇と相反して、ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)は先ごろ、2016年4月〜5月における同国中南部地域のサトウキビ圧搾量は、1億4097万トン(前年同期比28.9%増)と大幅に増加し、砂糖生産量も699万トン(同50.3%増)と大幅に増加したという生産実績報告を行っている。また、ガソリン燃料税の引き上げを砂糖・エタノール業界が要請しているとの報道もあることから、実際に同税が引き上げられれば製糖企業がエタノール需要の高まりを見込んで、サトウキビのエタノールへの仕向け割合を増加させる可能性も考えられるなど、今後の同国の砂糖価格の変動には注視が必要である。
【丸吉 裕子、米元 健太 2016年6月28日発】
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