現地報道によると、牛肉の最大生産州であるマットグロッソ州の農畜産保健所(INDEA)の職員が6月6日から賃金の引き上げを求めてストライキを行っていることから、一部の生産者の出荷作業に支障が生じ、同州の食肉パッカーの稼働率が低下しているとみられる。
同州では、家畜の所有者は、農場間の移動や出荷の際に、INDEAが発行する家畜移動許可証(GTA)を取得する必要がある。GTAは、電子申請または対面申請により取得できるが、ストライキにより対面申請が難しく、電子申請に対応していない農場からの出荷が滞っている状況にあるとされる。
同州の裁判所は6月16日、ストライキに加わっていたINDEA職員の一部(300人)に対して職場復帰を命じ、騒動は部分的に解消したものの完全な収束には至らなかった。
マットグロッソ州農業連盟(FAMATO)の農業経済研究所(IMEA)は、ストライキの影響によるパッカーの稼働率の低下は、約7億レアル(210億円)の利益損失をもたらすと推計している。INDEAと共にストを実施している同州農畜産防疫監督組合(Sinfa)のジョエアネ・シルバ氏によれば、電子申請に対応している農場は州全体の3割程度にしか達していない。一方、同州のアウタ・フローレスタ(Alta Floresta)市の畜産農場関係者によれば、大部分の農場は電子申請が可能であり、食肉の生産は継続されていると述べている。
現地バロール紙によると、ブラジル最大の牛肉生産・輸出企業で同州にも牛肉プラントを構えるJBS社は、「多くの農場が電子申請に対応していることから、集荷および食肉生産の支障は発生していない」としている。
なお、INDEAのホームページでは、6月30日付けで7月4日以降通常業務を再開するとの発表があり、1カ月近くにわたったストライキがようやく完全に収束すると見込まれる。