2015/16年度主要穀物の生産状況等調査結果(第10回)を公表(ブラジル)
ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は7月7日、2015/16年度(10月〜翌9月)第10回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した。当該調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)と、秋植えの冬期作物(第2期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。
これによると、主要穀物の作付面積は、5815万ヘクタール(前年度比0.4%増)と前年度並みとした一方、生産量は前年度比8.9%減の1億8927万トンに引き下げた(表1)。
特に、トウモロコシの生産量は、第1期作が相対的に収益性が良好な大豆への転換が前年度に続き進んだことに加え、第2期作の単収が干ばつ等により大幅に低下したため、2010/11年度以来5年ぶりに7000万トンを下回る予測となっている(図1、2)。
また、大豆の生産量は、第6回調査まで1億トンを上回ると予測されていたが、単収が干ばつなどにより低下することを受け、前年度を割り込む水準に下方修正されている(図1)。
トウモロコシ生産量、第2期作大幅減を受け7000万トン割れ
第1期作生産量、前回報告から14万トン減
第1期作の生産量は、前回報告から14万トン下方修正され、前年度比13.3%減を見込んでいる(表2)。
これは、主要生産州の作付面積が軒並み減少しているとの見通しによるもので、南部のパラナ州では、作付期に多雨により肥料栄養素が流出して生育被害があったほか、生育期に降雨不足に陥ったことで単収の低下が指摘されている。
第2期作生産量、前回報告から694万トン減
第2期作の生産量は、前回報告から694万トン下方修正され、前年度比21.1%減を見込んでいる(表3)。これは、干ばつによる作柄悪化の影響が大きく、事前の予想を上回る引き下げとなった。
最大生産州である中西部のマットグロッソ州では、大豆の作付・収穫が天候不順で遅れたことにより、播種時期が後ずれし、生育・収穫期の大半が乾季(4〜9月)と重なった。加えて、干ばつ被害が強まった結果、単収は大幅に引き下げられ、同27.4%減と見込まれている。また、第2位の南部のパラナ州の単収は、例年よりも冬季の寒さが強まった結果、生育期に霜害等が発生し10.7%減と予測されている。
マトピバ地域の生産量、前回報告から14万トン減
CONABは、新興農業開発地域である北東部を中心としたマトピバ地域の2015/16年度のトウモロコシ生産量について、干ばつで単収が低下したことを受け、前回報告から14万トン下方修正し、前年度比38.7%減を見込んでいる(表4)。マトピバ地域では近年、土壌改良が進んで優良農地が拡大し、大豆生産が増加する一方、トウモロコシ生産は相対的に減少傾向となっているが、今年度はエルニーニョ現象の影響で干ばつが発生したことを受け、大幅な減産が避けられないとみられている。
大豆生産量、前回報告から6万トン減
大豆生産量は、前回報告から6万トン下方修正され、過去最高を記録した前年度を0.7%下回る水準にまで引き下げられた(表5)。これは、作付面積は前年度を上回るものの、単収については、最大生産州であるマットグロッソ州が干ばつや病害虫被害で前年度比9.2%減、第2位のパラナ州もアジアさび病や収穫期の多雨による生産被害で同5.3%減など、主産地を中心に前年度を下回るとみられることによる。
マトピバ地域の生産量、前回報告から7万トン増
CONABは、これまで大幅な伸びを記録してきたマトピバ地域の大豆生産量について、エルニーニョ現象による干ばつの長期化により単収が大幅に低下した結果、前年度比35.3%減の683万トンを見込んでいる(表6)。
【米元 平成28年7月8日発】
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