ブラジル動物性タンパク質協会(ABPA(参考1))は7月12日、2016年の鶏肉と豚肉の生産・輸出見通しを発表した。
これによると、生産量については、飼料の主原料であるトウモロコシの供給不足による生産調整が行われたことから、鶏肉は、年初予測値から3.7%下方修正されて1300万トン(前年比0.8%減)、豚肉は、同じく3.2%下方修正されて364万トン(前年並み)と予測された。
一方、2016年の輸出量については、鶏肉が前年比8%増の460万トン、豚肉が同28%増の70万トンを見込んでいる。好調な輸出の背景としては、いずれも中国の存在が挙げられる。中国は2016年2月、ブラジル国内の輸出認定施設を増やしており(参考2)、ブラジルからの食肉輸入を加速させている(表)。特に、鶏肉については、中国向けが、長年第2位の輸出先であった日本向けを抜くことが確実視されている。また、豚肉についても、中国国内で洪水による生産被害が発生していることから、さらなる輸出増が期待されている。
ブラジル国内は、深刻な景気悪化の影響で失業率が高まる中、安価な食肉である鶏肉や豚肉の消費も落ち込むと見込まれており、輸出に頼るところが大きくなっている。
なお、ABPAは為替レートが1米ドル=3.3レアル程度とレアル高傾向で推移していることに懸念を表明しており、輸出競争力を維持するためには、1米ドル=3.5レアル程度での推移が望ましいとしている。