ブラジル南部パラナ州に本拠を置くFrisia農協(注)は今後10年間で、北東部のマトピバ地域の農地を5万ヘクタール程度獲得することを目指している。同農協はパラナ州に15万3000ヘクタールの農地を保有しているが、同州を含めた南部の拡大余地がさほど残されていない中、今後は2000キロメートル以上離れた新興農業地域マトピバ地域で拡大計画を推し進めるものとみられる。
同農協のエメルソン・モウラ組合長は、パラナ州内でも農地拡大を目指している一方、同州よりもマトピバ地域の方が拡大の余地が大きいため、今回の決断に至ったとしている。同農協は今年6月、マトピバ地域に位置するトカンチンス州内に既に穀物保管倉庫(保管能力2万8000トン)を建設しており、一足早く同州への進出を果たしている。今後は、トカンチンス州を皮切りに、小規模生産者を中心に組合員を募りながら、穀物保管倉庫の増設も順次進めるものとみられる。
マトピバ地域は、ブラジル資本に限らず、国外ファンドなどからも投資対象として関心が集まっており、同国の穀物増産拠点として大いに注目が集まっている。しかしながら、農業省(MAPA)と農牧研究公社(EMBRAPA)は、同地域では干ばつなど気候障害の発生リスクが高いことで、2025/26年度の穀物栽培面積は2015/16年度比13.9%増の785万ヘクタールにとどまるという見解を示している。現地報道では、同地域の2015/16年度の作柄が大幅に悪化したことで資金難に陥っている生産者も多くおり、来たる2016/17年度の作付けにも影響が及ぶものとされている。
(注)オランダからの移民によって、1925年にパラナ州のカランベイー(Carambei)市に設立された。当初は酪農協同組合であったが、現在は肉豚や大豆・小麦生産も行っている。2016年度の売上げ高は、過去最高の20億レアル(641億円)が見込まれている。
参考 Frisia農協のロゴマーク