7月の中国向け牛肉輸出が大幅に減少(ブラジル)
中国は2015年5月19日にブラジル産冷凍牛肉の輸入を再開(参考)して以降、加速的に増やしてきたが、2016年7月のブラジルの中国向け冷凍牛肉輸出量は極端な落ち込みを見せている(図1)。
(参考)中国のブラジル産牛肉の輸入条件
30カ月齢以下の骨を取り除いた冷凍牛肉で、頭部の筋肉、内臓とその他の副産物などを取り除いたもののうち、2015年5月19日以降に生産したものに限る。
ブラジル現地報道では、2016年5月に上海で開かれた高級食品見本市「SIAL CHINA 2016」以降、7〜9月期生産分の中国向け牛肉輸出交渉の苦戦が伝えられていたが、背景には幾つかの複合的な要因が考えられている。1つ目は、為替相場がレアル高ドル安傾向に転じ、中国側の値下げ圧力が強まり、交渉がまとまらなくなったことである。この結果、ブラジルに代わってウルグアイ産やアルゼンチン産が為替相場などの影響で価格優位性を発揮し、引き合いが強まっているとされる(図2)。2つ目は、ブラジルの大手牛肉輸出企業によると、中国国内の牛肉在庫の増加である。中国は引き続き旺盛な需要を有しているものの、多少引き合いに変化が生じている可能性が指摘されている。
ブラジルでは現在、牛群再構築が進む中、肥育もと牛および牛肉価格は引き続き高値で推移しており、レアル高基調の為替相場も相まって価格優位性が低下しつつある。米国農務省海外農業局(USDA/FAS)によると、2016年のブラジルの牛肉生産量(枝肉重量ベース)は、前年比2.1%増の962万トンが見込まれているが、肥育もと牛生産が伸び悩んでいることから、本格的な増産に至るまでにはもう暫く時間を要するとみられている。
【米元 健太 平成28年9月7日発】
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