2015/16年度主要穀物の生産状況等の最終調査結果(第12回)を公表(ブラジル)
ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は9月6日、2015/16年度(10月〜翌9月)第12回目(最終回)となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した。当該調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)と、秋植えの冬期作物(第2期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。
これによると、主要穀物の作付面積は、5831万ヘクタール(前年度比0.7%増)と前年度並みとした一方、生産量は前年度比10.3%減の1億8640万トンに引き下げた(表1)。
特に、トウモロコシの生産量について、第1期作で収益性が相対的に良好な大豆への転換が進んだことに加え、第2期作も単収が干ばつ等により大幅に低下したため、5年ぶりに7000万トンを下回る予測となっている(図1、2)。
また、大豆の生産量は、第6回調査まで1億トンを上回ると予測されていたが、干ばつなどにより単収が低下することを受け、前年度を割り込む水準に下方修正されている(図1)。
トウモロコシ生産量、7000万トン割れ
第1期作生産量、前回報告から3万トン減
第1期作の生産量は、前回報告から3万トン下方修正され、前年度比14.1%減を見込んでいる(表2)。
これは、主要生産州の作付面積が軒並み減少したとの見通しに加え、南部のパラナ州で生育期に降雨不足に陥り、単収の低下が確実視されることによる。
第2期作生産量、前回報告から147万トン減
第2期作の生産量は、前回報告から147万トン下方修正され、前年度比24.7%減を見込んでいる(表3)。これは、中西部の干ばつによる作柄悪化の影響が大きい。
最大生産州である中西部のマットグロッソ州では、大豆の作付・収穫が天候不順で遅れたことにより、播種時期が後ずれし、生育・収穫期の大半が乾季(4〜9月)と重なった。加えて、エルニーニョ現象で干ばつ被害が強まったため、単収は大幅に低下した。また、第2位の南部のパラナ州の単収は、例年よりも冬季の寒さが強まった結果、生育期に霜害などが発生し同12.8%減と予測されている。
マトピバ地域のトウモロコシ生産量、前回報告から20万トン下方修正
CONABは、新興農業開発地域である北東部を中心としたマトピバ地域の2015/16年度のトウモロコシ生産量について、干ばつで単収が大幅に低下したことを受け、前回報告から20万トン下方修正し、前年度比43.3%減を見込んでいる(表4)。マトピバ地域では近年、土壌改良が進んで優良農地が拡大し、大豆生産が増加する一方、トウモロコシ生産は相対的に減少傾向となっているが、今年度はエルニーニョ現象の影響で深刻な干ばつが発生し大幅な減産となった。
大豆生産量、前回報告から2万トン減
大豆生産量は、前回報告から2万トン下方修正され、過去最高を記録した前年度から0.8%減を見込んでいる(表5)。作付面積は前年度を上回るものの、単収について、最大生産州であるマットグロッソ州が干ばつや病害虫被害で前年度比9.2%減、第2位のパラナ州もアジアさび病や収穫期の多雨による生産被害で同6.2%減に落ち込んだ結果、生産量は前年度を下回ることが確実視されている。
マトピバ地域の大豆生産量、前回報告から4万トン減
CONABは、これまで大幅な伸びを記録してきたマトピバ地域の大豆生産量について、エルニーニョ現象による干ばつにより単収が大幅に低下した結果、前年度比35.7%減の679万トンを見込んでいる(表6)。
【米元 健太 平成28年9月7日発】
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