現金収入については、豪ドル安と強い輸出需要などによる牛肉価格の上昇に伴って、2年度連続でかなり大きく増加した。ABARESによると、2015/16年度の肉牛出荷頭数は減少しつつあるものの、それを補うほどの価格高騰となったとしている。
現金支出については、特に南部はもと畜費の上昇に伴ってやや増加傾向にあるものの、現金収入に比べると増加幅は比較的小さい。内訳としては、南部では肥料、北部では牧草に係る費用が多いという特徴はあるが、総じてもと畜費や支払利息、設備更新費が中心となっている。
その結果、現金収入と現金支出の差額から算出される現金所得は、5割以上増加した前年度をさらに30%以上上回る大幅な増加となり、特に北部では大規模肉牛農家の収入増を受け、同36.1%増となった。
また、同調査では、肉牛農家の生産性についても記されており、これによると、牧草や肉牛の品種改良に加え、特に北部を中心としたブルセラ病や結核の撲滅運動が奏功したことによる家畜死亡率の低下を受け、直近40年で見ると、年平均1.3%程度のペースで生産性が向上してきた
(注)としている。
注:ABARESは、生産性の向上について、「土地、労働力、資本といった投入量の増加を上回る産出量(牛肉など)の増加、もしくは、産出量に必要な投入量の減少」と定義している。本調査では、農場に関する全ての投入量および産出量に基づいて計算された、全要素生産性(Total Factor Productivity(TFP))を指標として用いている。
TFPは、労働のみならず、機械設備や原材料投入も考慮した生産性指標なので、TFPの改善は、物量投入に依存しない生産効率の改善、業務効率の改善や、同じ機械設備でもより多くの生産が可能となるような技術革新を示す指標であるとされている。
(参考:http://www.rieti.go.jp/jp/database/d05_ans.html)