欧州委員会は本年7月、低迷する市況などにより困窮する生産者への支援として総額5億ユーロ(570億円:1ユーロ=114円)の新たな補助を公表し、その関連規定が9月9日にEU官報に掲載された。その新たな補助の中で、EU全域にわたって生乳の供給量を減らす生乳出荷削減奨励事業(
1億5000万ユーロ:171億円)の1回目の申請結果が9月27日に公表された。
それによると27加盟国から合計5万2101者の申請があり、申請された生乳の出荷削減数量は、計106万21トンとなった。
生乳出荷削減奨励事業は、4つの生乳削減対象期間があり、1回目は2016年10月〜12月、2回目は2016年11月〜2017年1月、3回目は2016年12月〜2017年2月、4回目は2017年1月〜3月となっている。前年同期比で削減した生乳に対し1キログラム当たり14セント(16.0円)の奨励金が交付される。削減対象となる限度数量は107万1428トンとなっており、対象期間内においてこの限度数量に達するまで実施される。
生産者は最低1500キログラムから申請でき、前年同期比50%までの削減が認められる。削減対象期間の終了後、生産者は45日以内に証拠書類を添えて加盟国に申請し、奨励金を受け取ることになる。
今回は9月21日の期限までにギリシャを除く27加盟国から申請があり、最大の申請量はドイツの28万6049トンとなり、フランス18万1398トン、英国11万2028トンと続く。また、最大の申請者数はフランスの1万2957者となり、ドイツ9947者、アイルランド4447者と続く。生産者数に占める申請者数は、アイルランドが最多で24%となり、ベルギー、オランダがそれぞれ22%となった。
1生産者当たりの平均申請数量は20トンとなり、奨励金額は2800ユーロ(32万円)となる。
なお、限度数量から今回の申請数量を差し引いた1万1407トンについては、2回目の申請期間に持ち越しされる(申請期限:10月12日)。1回目に申請した者は、削減期間の重なる申請はできないことから、次に申請できるのは4回目となる。
また、5億ユーロ(570億円)のうち残りの3億5000万ユーロ(399億円)は、加盟国に配賦され、加盟国の裁量により、この生乳出荷削減奨励事業の奨励金単価に上乗せ出来ることになっている。