2016/17年度主要穀物の生産状況等の調査結果(第1回)を公表(ブラジル)
ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は10月6日、2016/17年度(10月〜翌9月)第1回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した。当該調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)と、秋植えの冬期作物(第2期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。
これによると、主要穀物の作付面積は、前年度をわずかに上回り、生産量は前年度をかなり大きく上回ると見込まれた(表1)。
生産量のうち、トウモロコシは、国内の相場が飼料用トウモロコシ需給の逼迫から高値で推移しているため、2割超の増産が見込まれている(図1)。
また、大豆は、作付面積が微増する上、単収も前年度のエルニーニョ現象による干ばつ被害から回復する見込みを受け、初の1億トン超えが予測されている(図1)。
トウモロコシ生産量、前年から大幅増を見込む
第1期作生産量、前年度比1.6〜7.3%増
第1期作の生産量は、前年度比1.6〜7.3%増の2627万〜2773万トンを見込んでいる(表2)。
主要生産州では、国内相場が高値で推移していることを受け、作付面積の増加が見込まれている。最大生産州のリオグランデドスル州については、作付面積は増加する一方、単収は記録的な豊作となった前年度から落ち込むと見込まれており、平年並みの水準に落ち着く予測となっている。
全体としては、事前の予想では作付面積の顕著な増加が予測されていたが、前年度に干ばつの影響で十分な利益を得られず資金難に陥った生産者が多いことで作付面積が伸び悩み、やや増加にとどまる見通しとなっている。
第2期作生産量、前年度からの回復を見込む
今回の報告では、未だ具体的な作付面積の予測は行われておらず、前年度並みに仮置きされているが、干ばつにより大幅な減産を記録した前年度からの回復を見込んでいる。今後、春植えの夏期作物(大豆、トウモロコシ)の生産状況を受け、徐々に見通しが判明していく。
マトピバ地域の生産量、干ばつ被害からの回復は道半ば
CONABは、新興農業開発地域である北東部を中心としたマトピバ地域のトウモロコシ生産量について、干ばつで単収が大幅に低下した前年度からの回復を見込んで、前年度比27.8〜37.5%増を見込んでいる(表4)。
マトピバ地域には、前年度の深刻な干ばつ被害により経営が厳しい農家が多く、今年度の生産にも多大な影響が生じるとしている。このため、前年度からは一定の回復が見込まれるものの、2014/15年度(636万トン)には遠く及ばない予測となっている。
大豆生産量、過去最高を見込むものの播種が遅れ気味
大豆生産量については、依然として収益性がトウモロコシを上回るとして、前年度から6.7〜9.0%増と過去最高を見込んでいる(表5)。
作付面積は前年度をわずかに上回る程度であるものの、単収は、干ばつなどで低水準となった前年度からの回復が見込まれている。
しかしながら、一部の主産地では、不規則な降雨を受けて播種が進んでいない。また、前年度の生産被害で資金難に陥っている生産者は、農薬や肥料の購入が進んでおらず、播種の遅れに拍車がかかっているとされる。
このため、今後の天候次第では、前年度並みに下方修正される可能性がある。
マトピバ地域の生産量、大幅な回復を見込む
マトピバ地域の大豆生産量については、大幅な減産からの回復を見込んで前年度比65.7〜72.5%増を見込んでいる(表6)。前年度の不作を受けて経営が悪化している農家が多いことから、収益性に勝る大豆を作付けする場合が多くなっている。
なお、同地域最大のバイーア州では、灌漑エリアが6万ヘクタール程度広がっており、大豆収穫後、トウモロコシや綿花、ソルガムなどの2毛作を可能としている。
【米元 健太 平成28年10月19日発】
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