世界最大の食肉企業で、ブラジル最大の牛肉生産企業でもあるJBS社は10月18日、9月に始まった米国向け生鮮(冷蔵・冷凍)牛肉輸出の現状と今後の見通しについて言及した。
これによると、同社が9月末にマットグロッソドスル州カンポグランジ工場(施設番号:S.I.F1662)から出荷した第1便(約25トン)は、10月14日に米国フィラデルフィアに到着し、2016年中の米国向け生鮮牛肉輸出については、月間1000トン(約40コンテナ)程度を見込んでいるとした。また、2017年上半期については、米国の旺盛な需要を受けて、月間2500トン(約100コンテナ)まで拡大するとの予想を行っている。
JBSメルコスールのMiguel Gularde社長は、「JBSにとって対米生鮮牛肉輸出の解禁は、新しい市場を手に入れただけでなく、新規市場の開拓を戦略的に進める上で大変重要な意味を持つ」と述べており、さらなる輸出拡大と輸出先の多角化に意欲を見せている。
なお、米国に輸出されるブラジル産牛肉には、米国がWTO協定に基づき設定している関税割当のうち、その他の国向けの一般枠(6万4805トン、2015年実績は4万4362トン(消化率68%)が適用され、ニカラグア産やホンジュラス産、チリ産などと競合することになる(表)。しかしながら、一般枠を消化して26.4%の関税が課せられた場合でも、ブラジル産は他国に勝る価格優位性を有しているとされる。