欧州委員会は10月、EU主要13カ国の2016年5・6月時点の牛飼養頭数を公表した。13カ国の牛飼養頭数でEU全体の9割を占める。
これによると牛飼養頭数は、前年比0.8%増(前年比67万4000頭増)となった。加盟国別に見ると、アイルランドが同3.7%増(同25万7000頭増)と最大の増加率となり、次いでスペインが同3.5%増(同21万7000頭増)、オランダが同2.7%増(同11万1000頭増)となった。一方、ベルギーでは同2.4%減(同6万1000頭減)となった。なお、欧州委員会の統計では、肉用牛と乳用牛の区別はないことから、その内訳は明らかではない。
牛飼養頭数のうち乳用経産牛頭数は、同0.4%減(同9万5000頭減)となった。加盟国別に見ると、アイルランドが同7.9%増(同10万2000頭増)と最大の増加率となり、次いでオランダが同7.5%増(同12万1000頭増)となる一方、ポーランドでは同5.8%減(同13万3000頭減)、イタリアでは同5.5%減(同11万3000頭減)と、多くの加盟国で減少となった。
乳用経産牛頭数は、2015年3月末の生乳クオータ(生乳生産枠)撤廃以降、酪農部門の拡大を図っているアイルランドとオランダでかなりの増加がみられる一方、長引く乳価低迷などからポーランドやイタリアを中心に多くの国で規模縮小傾向にあることがみて取れる。また、スペインなどでは、乳用経産牛が減少する中、牛飼養頭数は増えていることから、酪農部門は縮小しているものの、肉牛部門は拡大しているとみられる。
牛飼養頭数は、昨年も加盟国による傾向の違いが見られたが、引き続き乳価が低水準で推移している中、乳用経産牛の増減についてはさらに2極化が強まっている。