ニュージーランド(NZ)一次産業相は10月21日、酪農産業再編法(Dairy Industry Restructuring Act、以下「DIRA」という)の改正案を発表した。
DIRAは、大手酪農協の合併により、NZ最大の酪農協系乳業メーカーであるフォンテラ社が2001年に創設(当時の集乳量シェア96%)された際に、同社の役割の明示や経営上の透明性の確保、市場における競争促進などを目的に制定された。DIRAは元来、フォンテラ社以外の乳業メーカーの集乳シェアが2割を超えたところで自動的に役目を終えるとされていたが、近年、南島で当該シェアが2割近くまで増加してきたことを受け、2015年から同法の見直しが検討され、NZ商業委員会が2016年3月に提出した最終報告書に対して、6月末までパブリックコメントの募集が行われていた。
寄せられたパブリックコメントを踏まえ、今回の改正案は、競争促進に関する事項を2点見直すものとなっている。
1点目は、生乳受け入れ義務の撤廃である。これまでフォンテラ社は、新規参入した酪農家について、原則としてすべての生乳を受け入れなければならないと定められていたが、今回の改正案では、2018/19年度(7月〜翌6月)以降、新規参入者のフォンテラ社への加入に関して、同社の裁量が認められることとなった。
2点目は、生乳販売義務の撤廃である。これまでフォンテラ社には、同社による独占的な集乳を防止するという観点から、集乳した生乳の一定量を、他の乳業メーカーに売り渡すことが義務付けられてきたが、今回の改正案では、2019/20年度以降、この義務が撤廃されることとなった。
今回の改正案は、2017年早々に議会に上程される予定である。また、一次産業相は、今後、2020/21年度にこれら2点の見直しを含めて再度の見直しを行うとしており、DIRA制定から20年という一つの節目を迎えるに当たり、より広範な改正を目指しているとみられる。