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欧州委員会、脱脂粉乳の公的在庫放出を発表(EU)

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 欧州委員会は11月24日、ロシアの禁輸以降、低迷した市況改善を目的に行った脱脂粉乳の公的買い入れによる在庫の一部を放出する計画を公表した。

 脱脂粉乳については、2015年7月から2016年9月までに行われた公的買い入れにより、脱脂粉乳の年間生産量の3分の1に相当する35万5000トンの公的在庫を抱えている。卸売価格が公的買入価格(100キログラム当たり169.80ユーロ(2万716円))を上回るなど改善の兆しが見られる中、新たな買い入れがないことから、欧州委員会は、放出のタイミングを見計らっていた。

 こうした中、欧州委員会は、脱脂粉乳の卸売価格が、11月14日の週に5月上旬に記録した底値(同162ユーロ(1万9764円))を22%上回る同198ユーロ(2万4156円)になるなど、公的買入価格を2割近く上回る状況が8週にわたって続いていることから、放出を決断した。

 脱脂粉乳の市況は、改善の兆しが見られるものの不安定性もあることから、先ずは公的在庫の6%に相当する2万2150トンを放出することとしている。
 実際、売り渡しが検討されているとの情報が流れると、11月14日の週の脱脂粉乳の市況は前週から5ユーロ(610円)安の同198ユーロ(2万4156円)となった。
 今回の放出決定について、EU最大の農業生産者団体であるCopa Cogeca(欧州農業組織委員会/欧州農業協同組合委員会)は、脱脂粉乳の卸売価格は好転しているものの、他の乳製品に比べると低い水準にあり、かつ安定しているとは言い難く、さらに10〜12月は、欧州委員会による生乳出荷削減奨励事業が実施されており、9万8000戸の生産者が106万トンの生乳出荷削減に取り組んでいることから、時期尚早であるとして、懸念を表明している。

 放出は入札により実施され、11月25日に応札の受け付けが始まり、12月13日に締め切られて落札が決定される。その後は、応札の状況と市況をみながら放出は継続されると考えられている。
脱脂粉乳のEU平均卸売価格の推移
 一方、欧州委員会は、公的買い入れとは別に、ロシアによる禁輸措置に伴う脱脂粉乳の市況の悪化を受けて、調整保管(民間在庫補助=PSA)を2014年9月から実施しており、この申請は現在も継続中であり、直近の11月14日の週には4カ国(ベルギー、チェコ、オランダ、ポーランド)から計2066トンが申請されている。

 脱脂粉乳の生産量は、本年1〜9月累計で前年同期比8.4%増に達している。しかしながら、同期間の脱脂粉乳の輸出については、同18.7%減と勢いを削がれている。これは、アルジェリアやエジプトなどの従来の輸出先市場でのニュージーランド産との競合や、中国の需要減退などが理由として挙げられる。
 欧州委員会は、難しい状況の中で脱脂粉乳の在庫放出の判断を下した。業界は、脱脂粉乳の市況の行方を注視している。
【調査情報部 平成28年12月1日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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