2016/17年度主要穀物の生産状況等の調査結果(第3回)を公表(ブラジル)
ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は12月8日、2016/17年度(10月〜翌9月)第3回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した。当該調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)と、秋植えの冬期作物(第2期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。
これによると、主要穀物の作付面積は前年度をわずかに上回り、生産量はエルニーニョ現象による干ばつ被害で不作であった前年度をかなりの程度上回ると見込まれている(表1)。
トウモロコシは、需給逼迫による国内相場の高値基調を受けて作付面積が増加見込みであるほか、単収の回復により、2割超の増産と予測されている(図1)。
また、大豆も、作付面積が微増するとの見込みに加え、単収の回復により、初めて1億トンを超える見込みとなっている(図1)。
トウモロコシ生産量、前年度から大幅増を見込む
第1期作生産量、前年度比7.3%増
第1期作トウモロコシの生産量は、前年度比7.3%増の2774万トンを見込んでいる(表2)。前回報告からは、6万トン程度引き下げられた。
国内全体の作付面積は、事前には顕著な増加が予想されていたが、前年度の干ばつの影響で十分な利益を得られず資金難に陥った生産者が多かったことから、3.0%増の増加にとどまるとの見通しとなっている。
主要生産州(上位5州)の生産量は、同4.7%増の2029万と予測された。国内相場が高値で推移していることを受け、作付面積の増加が見込まれている。ただし、リオグランデドスル州では、単収が天候不順により低水準にとどまるとされ、かなり大きな減少が予測されている。
第2期作生産量、前年度からの回復を見込む
今回の報告では、作付面積については未だ具体的な予測は行われておらず、前年度並みに仮置きされているが、単収については干ばつにより大幅な減産を記録した前年度からの回復を見込んでいる。今後、春植えの夏期作物(大豆、第1期作トウモロコシ)の生産状況を受け、徐々に見通しが判明していく。
マトピバ地域の生産量、干ばつ被害からの回復は道半ば
CONABは、新興農業開発地域である北東部を中心としたマトピバ地域のトウモロコシ生産量を、エルニーニョ現象に伴う干ばつで単収が大幅に低下した前年度からの回復を見込んで、前年度比33.1%増と予測している(表4)。
マトピバ地域の単収は、前年度の深刻な干ばつ被害により経営が厳しい農家が多く、肥料や農薬の投入が十分なされないため、低水準にとどまる見込みである。このため、生産量は、前年度からは一定の回復が見込まれるものの、前々年度(636万トン)には遠く及ばない予測となっている。
大豆生産量、過去最高を見込む
大豆生産量は、前回報告から11万トン程度引き下げられたものの、依然として収益性がトウモロコシを上回るとして、前年度比7.3%増の1億245万トンと過去最高を見込んでいる(表5)。
作付面積は前年度をわずかに上回る程度であるものの、単収は、エルニーニョ現象による干ばつなどで低下した前年度からの回復が見込まれている。
一部の地域では、播種期の降雨量不足から作業の遅れが懸念されていたものの、現在では多くの地域で適度な降雨を記録し、播種作業が進展しているとされる。一方、前年度の干ばつ被害で資金難に陥っている生産者については、農薬や肥料を十分に購入できないことから、生産性の低下が懸念されている。
マトピバ地域の生産量、大幅な回復を見込む
マトピバ地域の大豆生産量については、前年度比75.3%増と前年度の大幅な減産からの回復が見込まれている(表6)。前年度の不作を受けて経営が悪化していることから、多品目に比べ収益性に勝る大豆を作付ける農家が多くなっている。
【米元 健太 平成28年12月9日発】
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