米国通商部(USTR)の次期代表にロバート・ライトハイザー氏が指名される見通しであることを受けて、米国乳製品輸出協会(USDEC)と全米生乳生産者連盟(NMPF)は1月3日、この決定を歓迎する旨の書簡を連名で発出した。
書簡では、これまでにUSTR次席代表や上院財政委員会事務局長などを歴任する中で培った経験によって、同氏は米国に利する貿易政策に向けた道のりの構築に深く従事できるとした上で、酪農業界は海外市場に米国産乳製品を供給する能力を強化する貿易協定を希求することの重要性について、次期政権と対話を重ねることを期待していると述べられている。
また、書簡は米国酪農業界をめぐる昨今の情勢にも触れており、さまざまな自由貿易協定により恩恵を受けている一方、非関税障壁による影響がますます大きくなっているとしている。具体的には、NAFTAにより、メキシコは年間10億米ドル以上もの輸出市場となっている一方、カナダは事あるごとに米国に対して乳製品貿易に関する義務を無視していると述べられている。
なお、カナダに関しては最近、その保護主義的な酪農関連政策に対する声明が相次いでいる。例えば、全米第2位の生乳生産量を誇るウィスコンシン州のスコット・ウォーカー知事は12月20日、トランプ次期大統領に向けた書簡の中で、同国の保護主義的な酪農貿易政策によって米国の限外ろ過乳(ultrafiltered milk)の輸出が打撃を受けていると述べた。また、乳業メーカーなどで組織される国際乳食品協会(IDFA)も1月4日、上述のウィスコンシン州知事の書簡を紹介した上で、同協会のべス・ヒューズ国際関係部長が先月オタワを訪問し、カナダの政府および酪農業界などとこの問題について議論を交わしたことに触れ、同協会が今後もこの問題に積極的に取り組んでいくと表明している。