日本企業のタイでのキャッサバエタノール事業、現地で高い関心
最終更新日:2017年1月16日
1月10日付けで、サッポロホールディングス株式会社(以下「サッポロ社」)が発表した、タイでのキャッサバパルプを用いたバイオエタノール製造実用化に向けた現地企業との契約締結について、現地でも報道されている(注1)。
現地報道(バンコク・ポスト)によると、サッポロ社と契約を交わした、PTG社(注2)とEiamburapa社(注3)の合弁企業であるIGE社は、同契約に基づき建設する新工場において、キャッサバパルプからのエタノール生産の2020年までの開始を目指している。PTG社は、Eiamburapa社のキャッサバパルプ製造技術とサッポロ社の発酵パルプ技術を生かし、IGE社がガソホール(注4)用のバイオエタノールを生産・流通させることで、各社の強みを活用した相乗効果が生まれるとして、期待を示している。また、これまで廃棄処分されていたキャッサバパルプが有用な工業原料となるだけでなく、糖みつを利用するより安価でエタノールが生産できるとして、コスト面での意義も強調している。
本事業による新工場は、タイ東部のSa Kaeo県にて、15億バーツ(45億円)を投じて建設予定であり、製造能力は1日当たり20万リットルと計画されている。さらに、PTG社は、同地域にもう1工場建設することで、2021年から2022年にかけて、製造能力を同40万リットルに倍増するとしている。同社は、現在、同47万リットルのエタノールを生産しているが、2020年には同115万リットルまで需要は高まると予測している。
なお、タイの代替エネルギー開発計画では、エタノール消費量について、現在の同350万〜360万リットルから、2036年には1130万リットルまで増加するとされている。
(注1) 本記事は、現地報道の概要であり、サッポロ社の公式な発表に基づくものではない。
(注2)ガソリン販売会社
(注3)でん粉加工会社
(注4)エタノール混合ガソリンのこと。
【根本 悠 平成29年1月16日発】
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