ブラジルの鶏肉最大手企業であるBRF社は1月9日、ハラール市場での販売を強化する目的で、トルコ最大手の鶏肉インテグレーターであるBanvit社を買収したことを発表した。具体的には、BRF社が60%、カタール国営ファンドQatar Investment Authority(QIA)が40%の割合で出資して現地合弁企業を設立し、この合弁企業がBanvit社の権益を100%取得する。
Banvit社は1968年に設立され、2015年の国内シェアは13%に達しており、売上高の1割を輸出が占めている。同社はトルコ国内に、飼料工場4カ所、孵卵場3カ所、食鳥処理・加工場5カ所などの生産拠点を保有しており、1日当たりの処理能力は60万羽とされている(図)。BRF社によると、トルコは世界有数のハラール鶏肉消費国で、今後も鶏肉および鶏肉加工品の消費拡大が見込まれている。
BRF社は、今回の買収で得たトルコの生産拠点を、同社が2017年に改組して設立したハラール部門子会社であるOnefoods(旧Sadia Halal)を通じて運営することになる。
BRF社のペドロ・ファリアCEOは、「BRF社は、Onefoodsとしてハラール市場の開拓・拡大を進めており、今回の買収で得たトルコの拠点を中東戦略のハブにしたい」と述べた。Onefoodsは、18億人とも推計される世界のイスラム市場の中で、とりわけ経済成長および人口拡大が進むサウジアラビア、UAE、カタール、クウェート、オマーンに注力しているが、これらの国以外へもアプローチしていきたいとしており、トルコなど近隣の生産拠点の確保に動いていたものとみられている。なお、BRF社の公表資料によると、2050年のイスラム人口は28億人にまで拡大すると見込まれている。