現地報道によると、ブラジル国内第2位の鶏肉生産部門を有するJBS社のディレクターであり、鶏肉の州別生産量第2位のサンタカタリーナ州養鶏協会(ACAV)の会長でもあるJose Ribas氏は、2016年に生産コスト高を受けて落ち込んだ同国の鶏肉生産量が2017年に回復するか否かについて現時点で予想は困難であるとしたうえで、「2015年の生産水準に戻るのは、生産コスト上昇等の理由で2018年になる可能性がある」と、鶏肉生産の停滞が予想以上に長引く可能性を指摘している。
同氏のこうした発言は、2012年に米国で干ばつが発生した際、ブラジル国内でも飼料用トウモロコシ相場が高騰し、翌年の鶏肉生産も落ち込んだという経験を踏まえてのものとみられるが、2017年の増産を予測しているブラジル動物性タンパク質協会(ABPA)とは異なる見解を示している。
ブラジルのブロイラー生産コストは現在、落ち着いてきたものの、飼料用トウモロコシの不足分を依然として隣国のアルゼンチンやパラグアイから輸入しているため、過去の水準と比べると高水準で推移している(図)。2016/17年度(10月〜翌9月)第1期作トウモロコシは比較的豊作とみられているが、同国のトウモロコシ生産は第2期作が主流であるため、トウモロコシ需給の逼迫傾向が解消するのは下半期以降となる可能性が指摘されている。
なお、ブラジル動物性タンパク質協会(APBA)は、2016年12月13日に発表した見通しの中で、2017年の鶏肉生産量を3〜5%増と見込んだ。この要因として、国内経済がプラス成長に転換することで消費を後押しすることが挙げられたが、ここにきて同国の不況がさらに長引く可能性も指摘されている。こうした中、Ribas氏は、「市場に過剰供給することは業界にとって得策とは言えず、マージンの減少を招く事になる」と述べて生産増に対する懸念を示す一方、トウモロコシ相場次第ではマージンが拡大し、業界にとって明るい年になると見ている。