欧州委員会、乳製品の調整保管(PSA)を2月末に終了へ
欧州委員会は1月31日、欧州乳製品輸出入・販売業者連合(EUCOLAIT)の会議の中で、脱脂粉乳の調整保管(民間在庫補助=PSA)の実施を、2月末をもって終了予定であることを明らかにした。これで乳製品のPSAは全て終了する。
脱脂粉乳のPSAは、2014年9月以降継続して実施されてきたが、申請量は価格の回復により減少傾向にある。バターのPSAは、2014年9月から2016年9月まで実施されていた。
欧州委員会は、脱脂粉乳やバターなどの乳製品価格は2016年半ばから回復してきていること、また、3月以降、脱脂粉乳とバターの公的買入が実施される予定であることから、PSAを実施する必要はないと判断した。ただし、市場の状況が変わり、必要となれば直ちに実施することを強調した。
欧州委員会は、脱脂粉乳とバターに関してはPSAの他に公的買入を毎年3月1日から9月30日の間に実施している。
バターについては、昨年は申請がなかったものの、脱脂粉乳については、市況の低迷を理由に、特例として実施期間が延長され、2016年末の公的在庫量は約35万トンに達している。
欧州委員会は現在、公的在庫の脱脂粉乳を市場に放出するべく売渡入札を行っている。しかし、2万2000トンの対象数量のうち、過去3回の入札で落札したのは40トンにとどまっている。売渡入札については、生乳クオータ制度終了後の乳価低迷下、乳牛を淘汰するなど酪農家の自主的な取り組みを阻害するとして、一部の酪農家のグループが欧州委員会に対し大掛かりな抗議を行うなど批判的な見方もある。回復の兆しも見えつつあるEU酪農情勢だが、公的在庫を抱え引き続き不安定な要素も含む中で、2014年9月から続いた乳製品のPSAが終了することとなる。
【大内田 一弘 平成29年2月10日発】
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