2016/17年度主要穀物の生産状況等の調査結果（第5回）を公表（ブラジル）

　ブラジル国家食糧供給公社（CONAB）は2月9日、2016/17年度（10月〜翌9月）第5回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した。当該調査は、春植えの夏期作物（大豆、第1期作トウモロコシなど）と、秋植えの冬期作物（第2期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など）の生産予測を毎月公表するものである。
　これによると、主要穀物の作付面積は前年度をわずかに上回り、生産量はエルニーニョ現象による干ばつ被害で不作であった前年度をかなりの程度上回ると見込まれている（表1）。
トウモロコシは、需給逼迫による国内相場の高値基調を受けて作付面積が増加する上、単収も回復することにより、3割超の増産が予測されている（図1）。
　また、大豆も、作付面積が微増するとの見込みに加え、単収の回復により、初めて1億トンを超える見込みとなっている（図1）。

　第1期作トウモロコシの生産量は、前年度比11.5％増の2882万トンを見込んでいる（表2）。主産地の南部（リオグランデドスル州、パラナ州、サンタカタリーナ州）で生育期に一定の降雨を記録したほか、害虫被害も非常に少ない状況を受け、前回報告から41万トン程度上方修正された。
　なお、作付面積は、国内相場高を受けて、事前には顕著な増加が予想されていたが、前年度の干ばつの影響で十分な利益を得られず資金難に陥った生産者が収益性に勝る大豆を選択したことなどから、1.7％増にとどまる見通しとなっている。
　主要生産州（上位5州）で見ると、作付面積の増加が見込まれているほか単収も良好なため、生産量は同8.6％増の2104万トンと予測されている。

　今回の報告から、第2期作トウモロコシの具体的な生産予測が公表されることになっており、生産量は、前年度比44.0％増の5859万トンを見込んでいる（表3）。
　単収は、干ばつにより大幅な減産を記録した前年度からの回復を見込んでいる。ただし、マットグロッソ州やマットグロッソドスル州の一部では、前作の大豆の収穫が長雨の影響で一部遅れているとされ、第2期作トウモロコシの播種に影響が及ぶ可能性が指摘されている。

　CONABは、新興農業開発地域である北東部を中心としたマトピバ地域のトウモロコシ生産量を、エルニーニョ現象に伴う干ばつで大幅に落ち込んだ前年度からの回復を見込んで、前年度比51.4％増と予測している（表4）。
　しかしながら、同地域の単収は、前年度の深刻な干ばつ被害により経営が厳しい農家が多く、肥料や農薬の投入が十分なされないため、平年と比べると低水準にとどまる見込みである。中でも同地域最大の生産量を誇るバイーア州の単収は、12月〜翌1月に降雨が少なかったこともあって、低水準が見込まれている。このため、生産量は、前年度からは大きな回復が見込まれるものの、2014/15年度（636万トン）には遠く及ばない予測となっている。

　大豆生産量は、主産地で生育期の11〜12月に適度な降雨を記録し生育が順調であったことを受けて、前回報告から178万トン程度引き上げられ、前年度比10.6％増の1億556万トンと過去最高を見込んでいる（表5）。
　作付面積は前年度をわずかに上回る程度であるものの、単収は、エルニーニョ現象による干ばつなどで低下した前年度からの回復が見込まれている。一部の地域では、播種期の降雨量不足から作業の遅れが懸念されていたものの、現在では多くの地域で適度な降雨を記録している。最大生産州のマットグロッソ州では、長雨の影響で収穫作業に少し影響が出ているものの、生育への影響はさほど憂慮されていない。
　生育・収穫期にある主産地では、近年広く発生が続いているアジアさび病など病虫害に関心が集まっている。

　マトピバ地域の大豆生産量は、前年度比75.6％増と前年度の大幅な減産からの回復が見込まれている（表6）。前年度の不作を受けて経営が悪化していることから、他品目に比べ収益性に勝るとされる大豆を作付ける農家が多くなっている。