米国通商代表部(USTR)は2月22日、ホルモン投与牛肉貿易に関する対EU報復関税の再実施に関するパブリックコメントの募集の締め切りを3月8日まで2週間延長することを発表した。締め切りは2月15日の公聴会を挟んで1月末と2月22日の2回が設定されていたが、今回延長されたのは後者である。
本件に関してUSTRは2016年12月28日付けの連邦官報で、1999年に一律で100%の報復関税を課したEU産品を公示しており、合計約90品目のほとんどは食肉であるものの、中にはオートバイやチョコレート、マスタード、パプリカ、栗といった品目も含まれている。今回のパブリックコメント募集や公聴会は、上記の前例を踏まえた上で、これから再実施する可能性のある報復関税について、その対象品目や関税率を検討することを目的としている。
公聴会は2月15日にワシントンDCで開催されたが、報復関税の再実施に対しては賛否両論がみられた。具体的には、米国食肉輸出連合会(USMEF)のサッド・ライブリー上席副会長をはじめとする牛肉産業関係者がEU産の牛肉に100%の関税を課すべきだと述べた一方、オートバイや化学繊維の関係者からは、もしそれらの品目にまで100%の関税が課された場合、米国のオートバイ産業は取り返しのつかない打撃を受け、化学繊維製品についてはそれを購入する消費者こそが直接的な影響を受けることとなる、などといった否定的なコメントが相次いだ。
パブリックコメントは、2月23日時点で既に1万1501件が集まっており、複数の農業団体などからは報復関税の再実施を支持するコメントがみられる一方、オートバイ産業関係者などからは、農業部門における貿易紛争の解決手段として非農業製品にまで報復関税を設けるべきではないといった旨の反対の声が上がっている。
(参考)平成28年12月28日付 海外情報「ホルモン投与牛肉の輸入禁止を継続するEUに対し、報復関税措置の再実施に向けた手続きを開始(米国)」
https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_001765.html