韓国からペルーへのトマト輸出が解禁
最終更新日:2017年3月13日
韓国農林畜産食品部(日本の農林水産省に相当)は2月、衛生条件の合意により、ペルー向けトマト、ブラジル向けなしの輸出が解禁されたと発表した。近年の韓国のトマト輸出のほぼ全量は日本向けであり、本稿では、「ペルー向けトマト」を中心に概要を紹介する。
2年に及ぶ交渉の結果、輸出解禁に合意
韓国とペルーの衛生当局は2014年以来、韓国からのトマト輸出解禁について、交渉を続けていた。その結果、2016年12月、両政府当局は合意に達し、翌1月、ペルー政府は、官報「韓国のトマトに関する輸入条件」を通知し、また、2月には、韓国の衛生当局発行の「輸出検疫ガイドライン」の施行を発表した。同ガイドラインの概要は以下の通りとなっている。
○以下に関して、ビニールハウスおよびパッケージ施設の登録と監視を行うこと。
・ビニールハウスにおいて、ヒラズハナアザミウマ、ミナミキイロアザミウマ、タバコガ(いずれもトマト栽培に害を及ぼすおそれのある病害虫)による病害のない状態を確保する制御と管理を行うこと。
・パッケージ施設において、病害虫のない状態を確保する適切な整備を行うこと。
○茎、花柄(かへい)(注1)、がく(注2)を除去すること。
○ビニールハウスとパッケージ施設の登録番号および「ペルー向け」としたラベル表示を積荷に貼付すること。
○全積荷の2%に相当する数量について、不定期にサンプル抽出を行うこと。
○以下に関して、植物検疫証明書に記録すること。
・韓国の衛生当局により登録されたビニールハウス、パッケージ施設によって生産・箱詰めされた積荷であること。
・上述の3病害虫による病害のない状態であること。
・海上輸送の積荷については、コンテナシール番号が付されていること。
○ペルーにおける輸入検疫手続きを受けること。
(注1)植物の花の部分を支える茎の部分。
(注2):花弁の外側で、花弁を支える部分。
中南米向け輸出拡大の契機に
韓国農林畜産食品部は、両輸出解禁を受けて、特に南米最大の市場であるブラジル向けのなしの輸出拡大の意義を強調するとともに、中南米地域全体に対して、韓国の優れた農産物の理解醸成に役立つ良いPR機会になるとして、期待を示している。
しかしながら、近年、ペルーはトマトの輸入実績がなく、韓国のトマト輸出のほぼ全量は加工業務用を中心とした日本向けである(図)。また、輸出が解禁されたとはいえ、韓国とペルーの輸送距離や輸送コストも課題であり、直ちに日本向け輸出に影響を及ぼす可能性は低いと考えられる。そうしたことも、トマトそのものの輸出拡大よりも、中南米市場への足がかりとしての意義を強調している背景にあるものと推察される。
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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