ホーム > 畜産 > 海外情報 > 2017年 > 米国乳製品の輸出に関する共有すべき7つの事実(米国)
前農務長官のトム・ヴィルサック氏をトップに迎えて新たな体制をスタートさせた米国乳製品輸出協議会(USDEC)であるが、同氏は就任以来、早速、積極的に同国内を駆け回り、数多くの関係者と直接会い、数々の講演をこなすなど、精力的な活動を展開しているようだ。
輸出入や各国との自由貿易協定など、米国の通商政策をめぐる情報は毎日のようにニュースをにぎわせており、政治家、活動家、ジャーナリストはそれぞれに同政策への意見を強く発している。このような懸念を払拭すべく、ヴィルサック氏も「実力以上の敵に立ち向かうために」と話しているように、米国乳製品業界は貿易政策だけでなくその他多くの問題に対して、明確かつ一貫性のあるメッセージを伝えていく必要があると同協会は考えている。
また、同氏が「協力しなければいけない」と業界全体の協働について各地で強調しているように、有益な政策立案に影響を与えることができるよう、米国乳製品業界は統一した見解や意見を持つ必要があることからも、今般、同協議会はウェブページにて、「米国乳製品の輸出に関する共有すべき7つの事実」を以下の通り公表した。
多くの国が自国民の乳製品需要を満たすための牛、農場、自然資源、そして科学技術とその他の能力をもち合わせておらず、他の場所に頼る必要がある。それらの多くの国にとって、米国は最適な選択肢なのである。米国の乳製品輸出は2000年には10億米ドル以下だったものが、2016年には50億米ドル近くへと4倍以上に拡大している。
15年前、我々は生乳生産量の約5%を輸出していた。今日、米国での生乳生産量は成長し続けていると同時に我々は当時の3倍近くを輸出している。米国の各農家から出発する集乳車の7台のうち1台分(つまりは7分の1)が最終的に海外での乳製品もしくは原材料として販売されており、乳製品の輸出は米国酪農業界の健全性にとっても不可欠なものとなっているのである。
我々の産業にあまり詳しくない人に米国産乳製品の輸出について話すと、きっと彼らは何ガロンもの液体ミルクが貨物コンテナに乗せられて中国に向かう画を想像するのだろう。我々は確かにいくらかの牛乳(保存期間が長いもの)を中国に輸出してはいるが、輸出の大半は乳製品と原材料である。2016年には、前年比3%増の189万トンの粉ミルク、ホエイ製品、乳糖、チーズ、そして乳脂肪を輸出した。
牛乳が筋肉を大きくすることは皆が知っていることである。しかし、グアテマラ、スーダン、ベトナムといった国では子供達にも栄養分を届けている。米国がより多くの乳製品輸出を開始したことにより、発展途上国での子供の成長阻害、一種の栄養不良は22%減少した。米国産乳製品の輸出はまさに子供の身長を伸ばしている。多くの国が、乳製品を国全体の健康の要ととらえている。ベトナム人の身長は男女ともに世界最低であるとされており、男性の平均身長は5.4フィート(164.6cm)、女性の平均身長は5.1フィート(155.4cm)である。同時に、ベトナム人は地域内の他のどの国よりもGDP比で医療費に多くを費やしている。政策目標の一つとして、同国政府は2020年までに平均身長を1-2フィート(30-60cm)伸ばすとの目標を掲げた。これを達成するための意味するところは牛乳消費量の増加である。
メキシコは我々にとって単なる南側の隣国ではない。同国は米国産乳製品の最大の輸入国であり、我々が輸出する乳製品の4分の1を購入してくれている。これはメキシコのバイヤーが、米国農村部の約3万人もの雇用を支えていることを意味している。
我々がメキシコに輸出しているさまざまな乳製品の供給には、約1500戸相当の平均規模の米国酪農家が関わっていることになり、多くの家族経営酪農家がこれまで続いてきたメキシコとの米国産乳製品の自由な取引に依存していることがわかる。なお、1994年に北米自由貿易協定(NAFTA)が始動して以来、メキシコ向け米国乳製品輸出は2万5000米ドルから12億米ドルにまで増加している。