欧州委員会は3月16日、生乳出荷削減奨励事業の第1回の対象期間(2016年10〜12月)における事業実績を公表した。これによると、4万3968戸の生産者により、合計85万1700トンの生乳が減産され、計画(5万1954戸、105万9230トン)に対する実施率は、それぞれ84.6%、80.4%となった。
最大の減産を実施したのは、ドイツの23万トンで、これにフランスの15万トンが続く。主要生産国では、デンマークは95.6%と高い実施率となった一方、オランダは66.2%と際立って低い実施率となった。
生乳出荷削減奨励事業は、供給過多にある生乳の需給を引き締めるために、低迷する生産者乳価の回復を期して、減産した生乳1キログラム当たり14セント(17.2円)に奨励金を交付するもので、合計107万1429トンの減産を見込んだものである。1回目の生乳削減対象期間に105万9230トン(5万1954戸)、2回目の対象期間に1万2199トン(6081戸)の削減計画が申請されていた。
欧州委員会のホーガン農業・農村開発担当委員は、訪問先のフランスの生産者団体の総会で、生産者乳価は完全には回復していないが、意図した方向に向かっていると述べ、前例のない生産者の自発的な取り組みを評価した。
同事業の参加農家は、搾乳牛の淘汰により減産を実施するものと考えられていたが、2月27日に公表された2016年12月現在の牛飼養頭数調査の結果を見ると、搾乳牛頭数の減少は限定的であり、生乳の減産は飼料給与量や種付け時期の調整などにより行われていたものと考えられる。
なお、2回目の生乳削減対象期間(2016年11月〜2017年1月)の実績は4月上旬に
公表される予定である。