豚飼養頭数、スペインがさらに拡大(EU)
欧州委員会は3月17日、2016年12月時点の豚飼養頭数(EU28カ国)を公表した(表)。EU28カ国の総飼養頭数は、前年比0.9%減の1億4735万頭とわずかに減少した。内訳を見ると、肥育豚(生体重50キログラム以上)は同0.2%増と前年並みとなっているものの、繁殖母豚および子豚(生体重20〜50キログラム未満)がそれぞれ同1.6%減、同2.3%減となった。
国別では、EU最大のスペインは前年比3.0%増となる2923万頭となり、EU全体に占める割合は、前年から0.7ポイント上昇し19.8%となった。同第2位のドイツは同1.0%減の2738万頭となり、同割合は前年同の18.6%となった。昨年、スペインがドイツを抜いてEU最大の豚飼養頭数となったが、今年はさらにその差が広がった(図)。
スペインとドイツは、両国を合わせた飼養頭数がEU全体の4割程度であり、豚肉生産量も4割を超える欧州の2大豚肉生産国であるが、その生産構造は大きく異なっている。統計を見ると、スペインの繁殖母豚頭数が241万頭であるのに対し、ドイツは同191万頭と少ない。一方、肥育豚頭数は、スペインの1229万頭とドイツの1226万頭とほとんど差がない。これは、ドイツが多くの肥育もと豚をデンマークなどから輸入しているためで、これにより、豚肉生産量ではドイツがスペインを上回りEU最大となっている。
(参考)
豚肉生産量(2016年。枝肉ベース)は、ドイツ(557万トン、EU全体に占める割合は24.0%)、スペイン(406万トン、同17.5%)
EU第4位の飼養頭数で、日本の豚肉の輸入先国としてはEU最大であるデンマークは、前年比3.3%減の1228万頭となった。ドイツやポーランドなどへの子豚の生体輸出が多い傾向が続いていることから、子豚に比べ肥育豚の減少が顕著になっている。なお、同第6位ポーランドは、総飼養頭数が前年比6.0%減、繁殖母豚頭数が同14.8%減になった前年度の反動もあり、全てのカテゴリーで増加となった。
【調査情報部 平成29年3月29日発】
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